1月28日、埼玉県八潮市内の県道松戸草加線(54号線)中央一丁目交差点付近において、中川流域下水道の下水道管破損が原因とみられる陥没が発生し、走行中のトラックが転落する事故が起きた。事故現場は、全国的にもファスナー関連企業が集積する八潮市内で最も密集するエリアであり、一部の企業では電話やインターネットの遮断による通信障害が発生している(1月31日時点)。
事故が発生した交差点は県道54号線上に位置し、八潮市内の各方面へ広がる道路が交わる六差路であることから、物流面で重要な地点となっている。現場から半径500㍍以内には、ファスナーメーカーや関連企業を含む約20社が集積している。
1月31日時点での本紙の聞き取り調査によると、連絡が取れた企業の中で、事故による物理的な被害や生産設備の停止が発生している企業は確認されなかった。一方で、一部の企業では電話やインターネットが遮断されており、連絡手段を携帯電話に切り替えたり、モバイルルーターでインターネット回線を確保したりする対応が見られた。また、水道が停止し、大量の工業用水を必要とする工場が休業を余儀なくされるケースもあった。
半径500㍍以内の企業でも、通信に問題がなく業務に影響がない企業もあるが、交通規制の影響でトラックを迂回ルートで移動させる必要が生じた事例が報告された。
本社工場の電話が遮断されたメーカーの中には、回線がつながる別工場を臨時の連絡窓口とする対応を取った企業もあった。事故現場付近のメーカーでは、通信業者が地上に通信アクセス拠点を臨時設置するために駐車場を提供した。
事故現場から1㌔圏内に工場や物流センターを持つ企業で被害がなかったところでは、「普段通りではないが、受発注業務は何とかできている。従業員に被害はないが、精神的な不安はある」との声が聞かれた。被害を受けていない企業の間でも、事故の長期化を懸念する声が多く上がっている。