【本紙アンケート調査】「賃上げ実施した」9割にのぼる「3%以上4%未満」が最多

2025年1月20日

 金属産業新聞社が新年特集号に合わせて実施した景気動向や賃上げに関するアンケート調査によると、2024年度に賃上げを実施した企業の割合は約90%に達した。実施した賃上げ率は「3%以上4%未満」が最多だった。
 設問Bでは賃上げに関して聞いた。設問B①では、2024年度に賃上げを実施した企業が171社(90・0%)で、実施していない企業は19社(10・0%)にとどまった。賃上げを実施した企業の多くは、従業員への還元を強化していることが伺える。
 設問B②では、賃上げの具体的な内容について尋ねたところ、最も多かったのは「定期昇給」で137社(39・7%)に上った。次いで「ベースアップ」の98社(28・4%)、「賞与増額」の53社(15・4%)が続くなど、定期的な給与増額や一時的な賞与増額が主な施策として挙げられた。一方、「新卒者の初任給増額」は43社(12・5%)で、企業によっては新卒採用の強化を意識した措置が取られている様子が見て取れる。
 社名非公開の設問B③では、賃上げ率について聞いた結果、最も多かったのは「3%以上4%未満」で39社(23・5%)となった。「2%以上3%未満」や「4%以上5%未満」もそれぞれ33社(19・9%)、35社(21・1%)が回答するなど、3%前後の賃上げが一般的であることが分かる。一方で、賃上げ率が5%以上となる企業は少数派で、全体の約15%にとどまった。
 設問B④では、賃上げを実施する上で重視する施策について尋ねた結果、「利益重視型経営」が121社(27・0%)と最多となり、企業の利益を基盤にした賃上げ方針が浮き彫りとなった。「価格転嫁」も96社(21・4%)が選択しており、原材料費やエネルギー費の高騰を反映させるため、価格転嫁が重要な課題として位置づけられていることが分かる。また、「業務効率化」を重視する企業も81社(18・1%)と多く、業務の効率化や省人化が賃上げ実施に不可欠な施策として認識されている。
 24年度の賃上げ実施に関する調査結果からは、企業が収益性を高めるとともに、従業員への還元を強化している傾向が明らかとなった。利益の増加を賃上げに反映させるためには、価格転嫁や業務効率化の推進が鍵となっている。今後も賃上げを持続的に実施するための施策が企業ごとに強化されると見込まれる。