Fastener Taiwan2023、およそ5年ぶりに開催 約300社が最新技術を展示

2023年5月22日

 「第6回台湾国際ファスニング見本市(Fastener Taiwan2023)」が5月3日から5日にかけて高雄市の「高雄展覧館」で開催された。一部出展社の展示内容を2回に分けて紹介する。
 台湾鋼鉄集団(TSG)=土木・建築向けをはじめとしたねじ類の製造を行う春雨工廠(Chun Yu)をはじめとした春雨集団の各企業や、工具鋼を中心に特殊鋼の材料メーカーである榮剛材料科技(GMTC)、チタンを中心にニッケル合金など難加工材の材料及び製品のメーカーである精剛精密(S-Tech)など幅広い材質の材料、ファスナー等の製品、そして設備までカバーするグループの総合力をPRした。
 なおTSGは鉄鋼・通信・化学材料・レジャーの4分野で10事業を展開するコングロマリットで、台湾ねじメーカーの草分け的存在とされる春日集団は現在同グループの傘下企業となっている。
 昕群企業(Shin Chun)=建築用ねじ等へのノンクロムカラーコーティング技術「ColorGuard」やねじ込み時の摩擦を低減する特殊なねじ山形状により、既存品よりも低いトルクでのねじ込みを可能にする「WinnerScrew」を紹介。同社ではISO9001、ISO14001、IATF16949のほかCEマークやETA(欧州技術認証)を取得しており、厳格な品質要求ニーズに応えている。
 宏楷科技(Accuvision)=光学式検査選別装置を展示。会場では六角穴付ボルトの検査デモを行い、一台でねじの頭部からねじ山、穴の深さまで一度に検査選別が行える技術力をPRした。このうちねじ山の検査についてはAIによるパターン認識を利用しており、関係者は取材に応えて「今後はAIを利用した検査というものが増えてくるのでは。当社としてもAI技術の活用に取り組んでいる」旨コメントした。
 鍵財機械(Chien Tsai)=M5~M8のワークを対象とした平ダイス式転造盤「CTR8N」を展示。同社は台湾及び中国・浙江省に生産拠点を有しており、年間最大2000台強の製造能力で需要に応えている。なお同社は昨年12月より㈱谷坂鉄工所(兵庫県)と業務提携契約を締結しており、日本に向けて平ダイス式転造機の販売を開始している(※本紙2月27日付に関連記事)。
 サクマグループ(SACMA)=SACMA社では近年の新製品として1台で圧造と転造を同時に行えるヘッダー「KSP―12R」を発表している。
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 同ブースにおいて同社シニアセールスエグゼクティブであるLuca Romano氏に新製品「KSP―12R」の反応や日本での展開について話を聞いた。
―コンバインドヘッダーはどの程度のニーズがあるのか?
 Romano氏:圧造機械では(売上の)およそ50%はコンバインドヘッダーとなっている。同製品は欧米市場で受け入れられている一方、アジア市場ではあまり浸透していなかった。これは生産方法に対する考え方の違いだと理解しているが、アジア地域にもゆっくりではあるが浸透しつつある。
 何をもって最も効率的と考えるかは難しい問題だ。コンバインドヘッダーを使うと余計な付帯設備が不要となり、省スペース化にも繋がる。また成形から転造まで一つの機械で連続して行うことで工具温度、オイルといった加工条件が安定するため工具寿命の向上も期待できる。しかし複数のアイテムを製造する場合、段取り替えや設備の柔軟性という点ではデメリットも出てくるだろう。なお圧造工程をスキップして転造のみ利用することも可能となっている。
―日本市場への展開について
 次は7月に「MF-TOKYO」へ出展する。(日本の)パートナー企業のエンジニアにイタリアのSACMA本社へトレーニングに来てもらうということをしているが、日本の顧客は十全なメンテナンス体制を希望されるため人材教育の必要性を感じている。なお台湾では2016年に子会社を設立したが、4年の間に25台の機械が売れたため現地法人の設立に踏み切った。将来日本でも同じ数だけの需要があれば子会社の設立を検討していくだろう。
―ありがとうございました(聞き手:関西支社・後藤)