中小企業省力化投資補助金の公募要領が特設ウェブサイトから公開された。現在公募を開始しているのは、省力機器の販売事業者や製造事業者が、補助金の対象となる製品を掲載する「製品カタログ」へ登録するための申請だ。
同補助金は人手不足の状態にある中小企業が「製品カタログ」から選んだ省力機器の導入を支援するもの。補助率は2分の1以下でそれぞれ従業員5名以下が200万円(300万円)、従業員数6~20名が500万円(750万円)、従業員数21名以上が1000万円(1500万円)の補助上限額となる。賃上げを達成した場合、括弧内の引き上げ額となる。中小製造業の規模と投資額の観点からみても、申請しやすいバランスのよい補助金制度ではないだろうか。
今回の補助金の大きな特長は、補助対象となる省力機器が「製品カタログ」に掲載され、補助金を受ける中小企業はこのカタログから自社に適した製品を選ぶという方式をとっていることだ。また省力機器メーカーや販売企業は、現在公募されている申請手続きをすることで「製品カタログ」に自社製品を掲載することができ、官製の新しい需要をつかむ好機となる。
省力機器の製造事業者が製品カタログへの申請を行う場合は、窓口となる工業会を通して製品性能審査が行われ証明書の発行を受けることになる。なお製造事業者は審査を担う工業会に属している必要はない。例えば、自動検査機などを、製品カテゴリ「検品・仕分システム」で申請を行う場合は、(一社)日本物流システム機器協会の審査を受けて証明書の発行を受ける形となる。
すでに製品カタログは最新版(5月27日)が公開されているが、製品カテゴリのうち「自動倉庫」、「無人搬送車(AGV・AMR)」、「検品・仕分システム」の製品はまだまだ少なく、ねじ・ばね業界への導入が期待される製品があまりないのが現状だ。当業界とも関連の深い画像処理選別機メーカーや省力機器メーカー等の申請が活発となってほしい。
一方で「製品カタログ」への掲載についてハードルの高さも感じられる。例えば製品カテゴリ「検品・仕分システム」では、「検品と仕分が一体で完成するシステム」とあり、単能機のシステムでは条件に当てはまらない可能性もありそうだ。省力化設備メーカーからの情報では、工作機械等に付帯する機器や、案件に応じて設計をともなう特注機は対象外のようだ。省力化製品の要件の詳細は、公開されている要領を参照してほしい。今後は補助金を受ける中小企業の公募が開始される予定で、本稿でも取り上げてきた「省力化イヤー」の本格化を期待したい。