「メール」は英語で「手紙」の意味だが、今や「電子メール」を意味する場合が殆どだ。かつてホリエモン(堀江貴文氏)が「仕事で電話は使わない」と言い切って物議を醸した。曰く「電話は他者の時間を拘束する」「仕事を中断される」「ノッている気分が折られる」―。
普及した電子メールは電話と違って相手の都合・タイミングを気にする事無く、確認や返答・対応を急がせたりしない為の通信手段のはずだったが、いつの間にか電話どころか電子メールに対しても「夜間に送信するのは失礼」等で送信する時間帯まで気にする風潮が出来つつある。
郵便(手紙)、電報、アマチュア無線・トランシーバー、電話、FAX、メール、アプリ内トークやメッセージ、オンライン会話・会議―、時代により通信手段は発達し種類が増えている。
手紙なら紙の質感や筆跡・書体・絵図や香りを付ける。電話・無線・オンライン通話なら確固とした目的以外にも雑談等の会話を楽しむ。FAXなら手紙より早く。メールやアプリならFAXでは普及していない為難しいカラーだけでなく動画だって可能だ。
通信手段に実用面とは別に〝格〟を求めている節もあるはずだ。招待状等で使用する事を考えれば郵便→電話・FAX→メール・通話アプリだろう。分かり易い例が年賀状だ。年1回しかない新年の挨拶で郵便を使用しないとゆう事は、時代の意識の変化で〝格〟を求めなくなったのかもしれない。また本紙でも特集号において読者にアンケートを募っているが、集計される回答の方法においてFAXは根強いのは事実だ。確かに回答用紙に直に書き込んで郵便より早く送信できる手軽さ、そしてスキャンしてメールに添付する際の手間との差は大きい。
多様な通信手段は災害や不具合等何かあった時の代替手段として頼もしいが、日常生活や日々の業務において情報が錯綜する事が起きてしまうのも悩みどころ。そして電子的な文字情報を打ち込む事が苦手な世代がいる事を忘れてはならない。
またこちらが送ったからといって送り先が確認しているとは限らない。メール送信後に電話をする二重作業が発生する事例もあるが、メッセージの宛先が送った先の場所にいるのか?届いたとしても宛先が確認したのか?返答する意思があるのか?返答したのか?緊急時に相手は無事なのか?メールの「開封確認」やアプリの「既読」機能が生まれた背景が分かる。
時代の過渡期だからといってしまえばそれまでだが、どの通信手段までは全世代で使いこなせるかの判断、そして重要度・緊急性に応じて通信手段を使い分ける柔軟性を養っていきたい。