課題が多く残る産業界、今年は転機の年に

2024年1月1日

 令和6年新年特集号をお届けする。令和も気付けば5年という歳月が過ぎたが、思えば令和の時代に入ってからは世界的な規模で影響を及ぼす大きな出来事が続いている。コロナ禍や世界的なインフレとそれに伴う円安基調、ウクライナ危機そして深刻化するパレスチナ情勢など本来であれば「など」という言葉で一括りにできないような大きな出来事が毎年のように起きている。産業界に目を向ければAI技術の飛躍的な発展やモビリティの電動化に向けた取り組みが進んでいるほか、DX・GXといった次世代のモノづくりを形作る新たな概念も浸透しつつある。一方で環境問題をはじめ今まさに直面している課題や今後顕在化の可能性がある課題も山積みとなっている。
 物流業界における「2024年問題」は24年と銘打たれている通りまさに今年立ち向かわなければならない課題の一つだ。ドライバーの時間外労働時間が制限されることで従来と同じ形での輸送が困難になることが予想されており、業務内容の見直しや場合によっては配送方法の見直しを検討せざるを得ないだろう。ただ同時に(例えば)必要性の無いものについては翌日必着を廃止して翌々日や翌週にずらすといったある種過剰となっていたサービスについて見直す機会にもなるだろう。コロナ禍という課題にぶつかった時「対面訪問」という慣習が見直されデジタル技術が受け入れられていったように荷主・事業者の双方にとって良い方向へと向かっていくことを願う。
 ねじ(鋲螺)という製品にとっていわゆるチャイナリスク、その中でも巷で囁かれている台湾有事の可能性は大きなインパクトを持つ問題の一つだ。数量ベースで見ると台湾は中国に次ぐ輸入相手国で様々な製品を扱う卸であればステンレスねじやキャップボルトといった製品を筆頭に台湾製のねじを見かける機会は決して少なくはないだろう。しかし関係筋の話では中でも欧米メーカーがリスク管理の観点から調達先を台湾から変更するケースが散見されているとのことであるが、グローバルマーケットに焦点を当てたモノづくりを貫いてきた台湾に代わる調達先はすぐには見つからないだろう。平行して最近中国からベトナムへと拠点を移す流れが見え始めているが分断化する世界情勢を背景にいかにして次の供給ネットワークを構築していくか、そしてその新たな流れを早い段階で見極められるかどうかは経営者にとって重要な課題になることが予想される。
 大きな課題を乗り越えた先には必ずや良い発展が続くものである。そして鋲螺業界は強く、強固な結束をもってこれまで幾度も試練を乗り越えてきた。コロナ禍の影響も消え更に交流が加速していくことだろうが、今年も良い交流が続くことを祈念したい。

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