終わっていない問題、始まっていた課題

2023年12月18日

 年末年始―。終わりと始まりを意識してしまう時期だが、今年大きかった出来事は新型コロナウイルス感染症が感染法上で2類から5類に変更された事だろう。
 これにより社会活動がコロナ禍前に戻りつつあるが、だからといって脅威が去ったわけではなく、現在も感染・発症者は出ている。あくまで人間の都合で法・制度を変更しただけであり、終わっていない問題である事を忘れてはならない。
 逆に経営や社会の課題が取りざたされる頃には既に始まっている事も多々ある。
 昨今は労働力不足・人材確保が喫緊の課題となっているが、既に1970年代から出生数・合計特殊出生率は下がり始めており、人口ボーナスの終焉、そしてその後に人口オーナスで需要と同時に供給能力の縮小がある事は分かっていたはず。いつか来る少子高齢化に対して有効な対策を講じる事が出来ず早半世紀、いよいよ来てしまったと言っていいだろう。
 また人類の活動による二酸化炭素排出で因果関係が完全に立証されているわけではないが温暖化をはじめ様々な気候変動、今夏は連日の猛暑で救急搬送される事例が多発したが、搬送されないまでも体力を消耗しての体調不良やそれに伴う生産性の低下は無視できない。空調をはじめ事業所の環境整備・福利厚生の充実は重要課題となりつつある。
 そして前述のパンデミックにも関連するがBCP(事業継続計画)を忘れてはならない。ある企業では東日本大震災を機に地震に限らず、様々な災害・課題が起こりうるものと想定して広義的に策定し、その一例として医薬品を準備していたが、これがコロナ禍初期の消毒液不足に対して功を奏した。
 課題となる前に事前の対策を講じておく事が有効な手段となる。また事業において先手を打っておく事は後々経営に有利になるはずだ。
 前述とは別の企業は主要ユーザー層が電機メーカーだった為、2000年代からヨーロッパ輸出向けでRoHS及びREACH規制への対応を進めていた事をきっかけに広く環境対応を推進。昨今はカーボンニュートラルをはじめ環境対策への意識が国内でも高まっているが、振り返って考えたら「時代を先取っていた・時代が追いついてきた」好機と捉えている。
 事業・経営において予想し得ない事態は多々ある。しかし今現在小さな課題だとしても大きくなる・いずれ起こると想定や準備・対策しておく。また今重要視されていない価値・需要・トレンドに対応できるようにしておく。先憂後楽とは云うが、課題やビジネスチャンスへの先見性・そして実行する覚悟と行動力が重要なはずだ。

バナー広告の募集

金属産業新聞のニュースサイトではバナー広告を募集しています。自社サイトや新製品、新サービスのアクセス向上に活用してみませんか。