中国経済の落込みが顕著だ。日本の産業において切り離して考えることのできない中国経済の動向に注視した対応が迫られる。
日本の機械産業の統計から中国経済の動向を見てみよう。日本からの主要3品目のねじ輸出は、今年に入り6カ月連続で前年比マイナスが続いている。6月までの鉄鋼製ボルトの輸出額は前年比29・0%減の118億7500万円、鉄鋼製ナットは同28・2%減の53億5100万円、ねじは同24・7%減の32億9000万円と低水準が続いている。
7月の工作機械受注額で中国の需要は前年同月比36・4%減の177億8000万円となり2020年の8月以来35カ月ぶりに180億円を割った。その他の地域に比べてもその落込み幅は大きい。
2023年度の出荷金額を過去最高の3兆1921億円を予測しており好調が続く建設機械業界だが、(一社)日本建設機械工業会の会員アンケート調査による海外需要予測を見ると、会員の約半数が中国市場を「減少する」と見ている。ただし建設機械の出荷金額における中国の構成比は0・3%(23年4月―6月時点)と小さい。
ローカルメーカーの台頭で日本メーカーのシェアが数年前と比較して低いことが理由と思われる。他の機械産業と比べて建設機械が強気な好調の見通しができるのも中国市場からの影響を大きく受けないと見ていることが要因のひとつにありそうだ。
(一社)日本ロボット工業会は、2023年の受注額見通しを5月に年初予想から1300億円低い1兆200億円に下方修正した。最大市場である中国の景気回復遅れをその理由に挙げている。有力ファスナー商社でも2022年度まで中国のEV関連投資にともなうロボット向けのファスナー需要が好調に推移していたが、今年度下半期に入ってから減少基調で推移しているという。自動車部品向けを主力にするファスナー商社では今期の売上を中国拠点の需要減を想定して計画している。
中国国家統計局による7月の製造業PMIは49・3となり、好調と不調の境い目となる「50」を4か月連続で下回った。ゼロコロナ政策からの景況回復が進まない中で、不動産市場の低迷が長引いている。不動産開発大手の中国恒大集団が米国で破産申請して、ドミノ危機の警戒感が強まっているのも懸念材料だ。日本経済への影響も懸念される中で、日本企業に試されているのが長い国内不況下で取り組んできた〝景況に左右されない体質づくり〟ではないだろうか。利益率の向上、販売領域の多様化、キャッシュ・フロー経営、DX、人材確保の施策など各社様々であろうが、これまでの経験を活かした経営が求められてくる。