拡大するコロナ、5類に相応しい対応を

2023年7月31日

 今年は一部分野を除き停滞感が続くまま半年が過ぎる形となってしまっている。財務省が公表している貿易統計を見ても、ねじ類など15品目の輸出は年初から4カ月連続で数量で対前年比15~20%程度の減少が続き、輸入についても同じく4カ月連続で対前年比7%から多い月で同じく20%程度減少している。輸入について中でも今年2月は「ステンレス鋼製ナット」(対前年比52・5%減)「ステンレス鋼製ボルト」(同41・1%減)がそれぞれ大幅に落ち込んでおり、ステンレスナットに関しては続く3月・4月と対前年比で3割程度の減少している。この激しい乱高下は昨年秋口から年末にかけて急上昇したのち23年の年始以降下落の一途を辿るニッケル価格も大きく影響しているものと思われるが、特にウクライナ危機の勃発以降資源価格は極めて不安定な状態が続いており、ニッケル価格(LME)だけを見ると一月の間に1割以上価格が変わることも現状珍しくはなく商社筋からは取扱いに苦慮する声が聞かれている。
 また一度過ぎ去ったかと思われたコロナ禍の存在も気になるところだ。新規感染者数は年初より落ち着いていたがここに来て再び上昇傾向を見せている。社会活動が活発になり、海外からの旅行者も4年ぶりに上半期で1000万人を超えたとのことで人の往来が増している以上止むを得ない部分はあるだろう。新型コロナウイルスが5類へと移行してからこのように感染者数が増加するのは初めての出来事であり、特にイベントの主催者は難しい判断を迫られる場面が今後増えてくると思われるが、政府はさらに感染者数が増えた際に参加者・主催者共に疲弊させかねない「自己判断」に頼るのだけは止めていただきたい。大阪の業界団体では今年4年ぶりに伝統ある野球大会を開催するがこうしたイベントが組合の活気ひいては業界の活気に寄与することは間違いなく、人の交流という点から見た際もこの半年ほどで随分と昔に戻った感はあるが今後は国内だけでなく海外との交流も含めて更に加速していくものと思われる。また先に行われたねじ商連の通常総会では新会長が選出され、新会長からは東京・神奈川・愛知・大阪の4地域での情報交換に前向きな姿勢を示したがこの停滞感が漂う先行き不透明な現状にあって業界での団結のためにも歓迎すべき発言ではないか。この3年間我々は未曽有の事態を前に様々な混乱を経験してきたが、テレワークの導入や「三密」を避ける職場環境の構築などその都度状況に適応するための答えを出してきた。コロナ禍の影響がかつてほど大きくはなくなったからこそ、社会への影響を可能な限り抑える形を取り続けながら付き合っていきたいものである。

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