今週の「MF-TOKYO」、トレンドの変化に注目

2023年7月10日

 コロナ禍の終息と共に景気についても回復していくものと期待されていたが既に下半期へと移っている中ねじ業界の景況感は主要な需要家に明るい兆しが見えないこともあり、依然として停滞感が強く先行き不透明な状態が続いている。コロナ禍以降の景況感については21年に反動増が見られて以降は力強さを欠いた状態が続いている。
 一部分野の動向を見ると建設需要については物流倉庫やデータセンターなど一部の物件は堅調である一方、大型物件をはじめ総じてみれば資材の高騰及び人手不足を受けて厳しい状態が続いている。そして同じく主たる需要家の一つである自動車産業についても昨年からの調整局面に概ね変調はなく停滞した状態が続いてしまっている。また世界情勢を見てもウクライナ危機は1年を超えて依然として継続中で一日で鎮静化したとは言えロシア国内で反乱が発生するなど極度に不安定な情勢となっている。
 米国・中国の景気も決して明るくないことから今年については昨年同様に停滞感が続くとする見方は強い。在阪ねじ商社の動向を見ていると売上については材料等のコスト上昇を受けて前年同水準程度となっている模様だが一方で数量が分野にもよるが前年比で1割程度落ち込んでいるようだ。
 そんな中、およそ4年ぶりの会場開催となる「MF―TOKYO」の開催が迫っている。同展は国内最大級の鍛圧機械を中心とした見本市として知られており、今回のテーマは「人と地球にやさしい技術、確かな未来のために」としてカーボンニュートラルやSGDs、サステナビリティといった昨今関心が高まっている分野を意識したものとなっている。低炭素あるいは脱炭素という言葉が人口に膾炙して久しいが、その中では昔からある製品・サービスを脱炭素という観点から改めて光を当ててPRしようとする取り組みも散見されている。本紙では本号そして前号で同展の特集を企画したが、各社の展示内容を見ても「環境負荷低減」「自動化・省人化」といったキーワードが散見される内容となった。他方で最新鋭の設備や今まさに開発を進めているコンセプトマシンの展示も予定されており、コロナ禍による空白の期間を埋める充実した内容になりそうだ。
 そして会期中はプレス技術やGXをテーマとした特別講演が行われるほか出展社によるセミナーでは産学どちらからもねじをテーマとした講演が行われる予定となっている。同展について、前回の現地展(2019年)では省力化・自動化の取り組みが注目され、中でもロボットの活用についてPRする企業が散見されていた。数年の間に大きく変わった業界のトレンドを見極める場としても注目したい。

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