改正省エネ法の対応が迫られる

2023年4月10日

 改正省エネ法が4月に施行された。これまで大規模需要家へ化石エネルギーの使用合理化を求めてきたが、改正後は2050年のカーボンニュートラルに向けて、全てのエネルギーの使用合理化や非化石エネルギーへの転換、また電気需要の最適化を求める法体系に変わった。非化石エネルギーへの転換に関しては事業者の判断基準を示されている。
 法律の施行にともない政府が閣議決定した基本方針によると、工場には次のような措置を講ずべきと示されている。
 ①エネルギー使用の実態や使用合理化への取組みを把握する②合理化の取組みを示す方針を定めて推進体制を整備する③管理統括者や企画推進者を中心に工場全体のエネルギー管理を行う④エネルギー消費設備は消費効率が優れ効率的な使用が可能となるものを導入する⑤既設設備の更新や改善にエネルギー使用を制御する付加設備を導入する⑥設備の運転や点検に管理基準を設定する⑦エネルギー管理者や推進者の活用とその他工場全体のエネルギー管理体制を充実させる⑧余剰エネルギーを工場等外へ有効利用する⑨他工場等を設置している者と連携できる場合は共同で推進する―。前述のことから、メーカーなど工場を持つ企業は効率化設備の導入促進が見込まれる。
 エネルギー消費機器の製造事業者に対しては、開発から量産までエネルギー消費性能の向上に力点を置いた事業活動を求めているほか、こうした製造業者はじめ輸入・販売事業者に対しても効率的な使用が可能となる製品を、消費者が適正に選択できるような情報提供や措置を求めている。ファスナー業界の機械メーカーからも、省エネ型製品の開発の動きが今後活発になるのではないか。
 非化石エネルギーへの転換のための措置も方針では明記されている。工場については非化石エネルギーへの転換の取組みの把握や推進を求めており、自然エネルギーを利用した熱設備の設置、太陽光発電や非化石電気の設備設置のほか、エネルギー調達についても非化石エネルギーの割合が高いものを選択することを求めており、各社の対応が迫られそうだ。
 さらに留意したいのは、貨物輸送に対して、荷主は輸送業者と荷送り時間の調整などジャストインタイムの見直しを求めている点だ。日本の製造業の特長でもあったジャストインタイムについて、貨物輸送においてはエネルギー効率の観点から見直しを迫られた形となる。生産にも影響を及ぼす産業の流通の在り方も改革が求められてくるのではないか。効率化設備の導入や省エネ製品の開発、非化石エネルギー転換のための技術シフトなどは、補助金などの支援も拡充が求められるだろう。

バナー広告の募集

金属産業新聞のニュースサイトではバナー広告を募集しています。自社サイトや新製品、新サービスのアクセス向上に活用してみませんか。