東京オリンピック・パラリンピック開催を経て昨年末から東京ビッグサイト(江東区)での展示会開催がかつてのように戻りつつある。メディアセンターとして利用するべく2019年春から使用できず、さらに新型コロナウイルス感染症拡大による延期の影響で21年秋まで伸びてしまった。代替として仮設の青海展示棟で対応もあったが、その期間多くの展示会は会場を幕張メッセ(千葉県千葉市)としていた。
2019年までメッセ、そして今年からビッグサイト開催に戻った展示会の取材時に出展企業から多かったのは「盛況なのは会場がメッセでなくビッグサイトだからかもしれない」、特に関西の企業からは「鉄道ルートで品川駅や東京駅までほぼ同じだが、そこからメッセの場合かかる時間は別として気持ち・体力的に約1・5倍疲れる」旨の意見もあった。そう、メッセは遠い。
一例としてほぼ同条件で新大阪駅からビッグサイトに向かう場合、品川駅か東京駅で在来線に乗り換え、大崎駅か大井町駅からりんかい線で国際展示場駅、もしくは新橋駅からゆりかもめでビッグサイト駅に到着して、会場入口まで徒歩約2~5分―で、合計約3時間~3時間15分(そのうち徒歩は駅構内乗り換え等を含めて合計約10分)かかる。しかしメッセに向かう場合、東京駅の新幹線ホームから京葉線ホームへの乗り換えで徒歩約10分、京葉線で海浜幕張駅に到着して、会場入口まで徒歩約10分―で、合計約3時間40分(そのうち徒歩は合計約20分)かかる。時間は殆ど変わらないが、おそらく荷物等を持っての在来線等乗車や徒歩にかかる時間が疲労感の原因と考えられる。
一方関東からの場合で神奈川県内の出展企業を例とすると、ビッグサイトまでは会期中毎日通い、メッセの場合は会場近辺で宿泊の方針で、ブースに立つスタッフの体力的にはメッセが楽だが、会社的にはコストが掛かる一長一短―の見解もあった。
逆にメッセがアクセスに優れている点としては成田空港(千葉県成田市)が近く交通手段は様々だがビッグサイトまでは約1時間45分~2時間20分、メッセまでは約1時間20分。しかし成田空港は国際線メインで、国内からの来場者が使用するのは国内線メインの羽田空港(東京都大田区)であり、羽田空港からビッグサイトまでは約30分~1時間、メッセまでは約45分~1時間30分。そして想定されていたはずの海外からの来場者は新型コロナの影響で出入国規制や検査・手続き・待機期間が必要となってしまった。
20・21年の出展社・来場者数や盛況の度合いは新型コロナだけでなく、五輪開催の影響も要因なはずだ。