最近、或る業界団体で次のような定款の変更(追記)があった。
―本組合の組合員たる資格を有する者は次の各号の要件を備える小規模の事業者とする。(中略)①暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2項に規定する暴力団、同条6号に規定する暴力団の構成員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関連企業、その他これらに準ずる者。②暴力団員が実質的に運営を支配又は運営に関与していると認められる者。③暴力団員を不当に利用していると認められる者。④暴力団員に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる者。⑤暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有していると認められるもの。
背景は「暴力団等反社会勢力の排除に向けた対応が社会全体として浸透してきていることから、反社会的勢力が組合員や役員となり、組合運営に関与することが決してないよう、組合の根本規範である定款に暴力団排除に関する規定を加える」のが目的となっている。
社会的責任、最近は英語でコンプライアンス(法令遵守。特に企業活動において社会規範に反することなく、公正・公平に業務遂行すること)と言われるようになってきているが、今まで分かってきたことが明文化され公明正大に実行されるようになったのかもしれない。
話は変わって、先月からロシアがウクライナに侵攻して冷戦時代の西側諸国を中心として制裁が行われているが、その内容は資産凍結・投資・金融取引・そして貿易の禁止―と、信用が低下して、国内における個人・企業間の社会でなく国家間の国際社会から真っ当に取引し難い相手として経済的に弾かれている。
もちろんロシアは石炭・石油・天然ガスといったエネルギーだけでなく、金・銅・鉄鉱石・アルミニウム・ニッケル・パラジウム・白金―といった金属資源も豊富であり、貿易を止めれば消費国は価格が高騰するどころか供給不足の可能性すらある。しかし領土不拡大や民族自決といった戦後秩序を否定しており、それでも関係を絶ちたい・絶つべき国家と認識されている―といっていいのだろう。
たとえ高品質・低価格な原料・製品・商品・サービスを提供する・してくれる個人・集団(企業・国家)だとしても、マナー(礼節)どころかモラル(道義)・ルール(規則)まで否定する存在を認めて関係を持って取引していては、いずれは社会の安寧・秩序に反する行為を認めることにも繋がり後々高くついてしまう。一時の利益でなく中長期的に利益を考えるなら、企業も、国家も、信用や社会的責任を重視しなければならない。