広まりつつあるSDGs 未来への嚆矢に

2021年12月13日

 10月以降、国内では社会活動が徐々に再開していったのにも関わらず毎日の感染者数は依然として非常に低い水準が続いている。
 感染者数の減少に伴い社会活動も徐々に再開されており、一部団体ではおよそ2年ぶりに忘年会を開催するなどコロナ前の賑わいが見え始めてきたところだ。関西の鋲螺業界を見ていると価格改定への対応に苦慮する一方で、自動車及び半導体関連といった特定の分野だけではなく工作機械、建機、土木、住宅など幅広い分野で復調の兆しが見えている。 このうち自動車については特定のメーカーに限られてくるが12月より本格的に挽回生産に入るとのことで、関西のあるメーカーでは11月から圧造機の稼働時間を増やすなど増産に向けた対応を開始していた。
 ただ、鋼材価格に関しては年末にもう一度動きがあるとの見方があり、またここに来て発見された新たな変異株の存在が気になるところだ。年明けより“Go to”キャンペーンが再開されるとのことだが、変異株が一度広まれば数カ月間国内の経済活動が停滞するのは確実だろう。政府には慎重な判断をお願いしたいところだ。
 コロナ禍を経て社会活動のあり方に変化が生まれたとされているが、昨今話題に取り上げられる機会が増えたSDGs(持続可能な開発目標)についてはどのような形で広まっていくのだろうか。
 鋲螺業界においてもSDGsに注目する企業が増えており各社でそれぞれ目標を定めて取り組みを進めている。
 ある自動車関連メーカーによれば特にティア1に対してSDGsの取り組みを求めるケースが増えてきたとのことで、同社も将来を見据えて今後はSDGsに関わる活動を推進していくとのことだった。
 SDGsは「人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標」として定められたもので、一見敷居が高いように見えるが特に7~12番目の目標についてはモノづくり企業が貢献できる内容が多く、「8:働きがいも経済成長も」「12:つくる責任 つかう責任」についてはこれまでも、そしてこれからも課題となる項目であるように思われる。
 また今後少子化が進行し、更なる高齢化社会に突入する中で男女が平等かつ均等に働ける職場を作ることは企業の継続にも関わる話になるのではないか(「5:ジェンダー平等を実現しよう」)。SDGsは決して独創的で新規性のある取り組みが求められている訳ではなく、これまで存在していた課題に対する枠組みと捉えるべきだろう。そこから各社の、そして日本の課題を改めて照らし返し、未来への嚆矢にしていくべきだ。

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