「ようやく」と言うべきだろうか。国内で初めて感染者が確認されてからおよそ8カ月、コロナ禍も転換点を迎えつつあるようだ。鋲螺業界の景況としては総じてみれば9月以降ユーザーの動きは依然として鈍く、生産財たる鋲螺類が動くには至らず底ばいの状態が続いているようだ。秋以降の復調に期待したいところだが、遅れて動くことを考えるならば本格的な復調は早くとも年末頃といったところだろうか。また原料価格の高騰から鋼材価格も値上げの動きが広がりつつあり、今後の動向によっては難しい対応を迫られることが予想される。
全国では依然として連日数百名単位の感染者が確認されてはいるが重症者数は減少傾向が続いており、また感染者数に関しても先月中旬以降になって一日の感染者数が500名を下回るようになった。プロスポーツを始め各種催しもコロナ禍以前の賑わいを取り戻しつつあり、9月の4連休時には空港や各所の行楽地が人で溢れかえったという。本号の発行日は4連休からおよそ2週間後に当たるがその頃でも感染者の急増が見られないようであればいよいよ経済再建に向けて、そしてコロナ禍以前の日常に向けてより大胆に活動できるものと期待して良いのではなかろうか。
なお催しと言えば、先月上旬に名古屋で開催された「第5回名古屋機械要素技術展」はコロナ禍の中行われたイベントであったことを加味すれば実に多くの人が訪れていた。しかし例年と比べるとやはり来場者数の減少は避けられずややもの寂しい様相を呈していたが、それでも各ブースではマスク姿で商談を行う姿が見られ、本紙関連のある出展社ではブースでリモートによる対応を取り入れるなどコロナ禍に応じた新しい展示会の姿が見られた。
制限の無い日常が戻ってくるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。本紙は夏季特集号において各社のコロナ対策について取り組みを紹介したが、ポストコロナの時代に向けた投資と捉えてむしろ積極的にリモートやオンラインでの活動に取り組んではどうだろうか。展示会に関して言えばオンライン展示会がにわかに活況を呈している。また業界では業界団体等がリモートによる説明会や勉強会を行うなどオンラインの取り組みを積極的に取り入れている。第二波もようやく終息へと向かいつつあるコロナ禍であるが、この先第三、第四のショックが起きないとは限らない。気を緩めず“ウィズコロナ”に向けて備えることが重要だろう。