新内閣でどうなる中小 〝デジタル〟国策へ本腰

2020年9月28日

 菅新内閣が発足した。安倍政権の方向性を踏襲しつつ、「自助・共助・公助、そして絆」、「国民のために働く内閣」を掲げての船出となった。コロナ対策・経済再起動を喫緊の課題として最重要課題に据えつつ、「デジタル庁」の新設、中小の再編といった課題にも取り組む。
 その他基本方針では「地方の活性化、人口減少、少子高齢化をはじめ山積する課題を克服していくことが、日本の活力につながるものと確信している」と表明しており、期待が懸かる。
 菅総理は就任前の日経新聞のインタビューで「中小企業の再編を促す」ことを言及した。日本の企業の99・7%を占める中小企業の労働生産性は、大企業に比べ低いとされる。企業規模が小さくなる程その傾向にあるようだ。合併などで企業規模を大きくすれば経営の効率化や生産性の向上が望めるものの、中小企業は税制優遇や補助が受けやすい面がある。菅内閣では企業規模の区分を定める中小企業基本法について、今後見直しを選択肢に入れる可能性がある。
 さらに経済産業省は、中小企業の新陳代謝を促す目的で、AI・IoTを活用した技術やサービスの開発、事業継承・M&Aの一元的な支援体制の整備、サプライチェーン全体にわたる取引環境の改善、サプライチェーンの強靭化を後押ししていく方針だ。
 生産拠点の分散にも一層取り組む。マスクや医療機器など中国依存が明らかになった経験を踏まえ、生産拠点の移転を促す補助金の追加予算を検討する。国内に関しても、若者を中心とした人材の地方移動支援を行い、地域経済の強化に取り組む。
 そして「デジタル庁」を来年に向けて新設する準備を進める。日本のIT力が諸先進国に比べ大きく後れを取っている現状について、ようやく国策として本腰を入れる。新技術の壁となるのは大抵、旧態依然とした制度や規制である。菅内閣は「既得権益に捉われずに規制の改革を全力で進める」と表明し、既得権益や前例主義の打破に意欲的な姿勢を示し、規制改革を骨子に据える政策姿勢を打ち出す。
 なお、以前からあった「GIGAスクール構想」について「強力に進めていく」としている。児童1人につき1台のパソコン端末を整備するこの計画では、ねじ業界としても、小ねじや、マイクロねじの需要増加が期待される。日本マイクロソフトが提唱する「GIGAスクールパッケージ」では、acer、ASUS、日本HP、NEC、Dynabook、Dell、富士通、日本マイクロソフト、マウスコンピュータ、Lenovoの10メーカーの対応PCが提供対象となっている。

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