中国国家統計局が発表した4月~6月のGDP(国内総生産)は、前年同期比3・2%プラスに転じたという。コロナ禍のさなかの好転ということもあり、中国経済の好調さを改めて示した形だ(うがった見方をすれば国威発揚や人民に安心感を与える意味が込められている可能性もあるが…)。これまでインフラ投資や消費刺激策といった景気政策を行ってきたことが功を奏しているようだ。
6月の中国鉱工業生産は前年同月比4・8%増となった。自動車、半導体の順調な回復が伺える。また、中国税関が発表した6月の貿易統計では、輸入はドル建てで前年比2・7%増に。コロナ禍で初めて増加に転じた。輸出も0・5%増となり大方の予想よりも好調な結果となった。
さらに、工作機械の持ち直しも一部で見られるようになってきた。日本工作機械工業会の6月分の発表では、受注総額672億円(前月比131・2%、前年同月比68・0%)と、わずかに和らいできた感がある。そして、日本メーカーの中国からの工作機械受注額は、6月まで4カ月連続で前月比増加となった。とりわけ6月は前年同月比でみても34・2%増の154億円と好転している。
㈱安川電機の第一四半期(3月~5月)の業績は減収減益ではあったものの、セグメント別でみるとモーションコントロール、システムエンジニアリングは減収ながら増益を確保した。なかでもモーションコントロールセグメントの売上収益は、ACサーボが中国で5G関連需要が増加したことに加え、日米韓で半導体関連が堅調だった。
日本電産㈱の第一四半期(3月~5月)の業績は売上が前期比6・6%減の3368億円、営業利益が前年同期比1・7%増の281億円となった。売上減に伴う利益減少はあったものの、徹底した原価改善等を実施したことによって増益を確保した。精密小型モータ部門は海外のロックダウンの影響を受けたが、主要サプライチェーンが集う中国は4月以降、ほぼ通常操業に回復。そのほか車載製品部門や家電・商業・産業用製品部門でもロックダウンの影響を受けたが着実な営業利益率の改善に成功した。ちなみに同社における6月の地域別の工場稼働率は、コロナ禍以前の状況を100として、日本は100%、欧州は75%、アメリカは84%、アジアは87%、中国は97%という状況。
好転を示している中国経済だが、さすがに未だ個人消費は低迷しているようだ。やはり失業や所得減の不安の払拭には至っていない。今後は我が国でも自動車や産業用ロボット、工作機械の回復が顕著に表れることを期待する。