21日に投開票された参院選。大きな争点である年金政策、憲法改正、消費増税、外交・安全保障に隠れて、中小企業の政策が見えづらい部分があったが、中小企業は紛れもなく日本経済を支える屋台骨だ。政治は一時の支援策に留まらず、強い中小企業を育てる地盤を作ってもらいたい。
国内企業のうち99・7%が中小企業である日本。中小企業が元気を取り戻すことで税収の増加、雇用増、設備投資による経済の活性化と国への恩恵は甚大だ。中小企業側も、ものづくり補助金など設備投資の支援策をはじめ、国が進める事業承継、海外展開、人材獲得、IT活用など多角的な支援策を活用していきたい。
自社の製品を輸出して海外に販路を拡大したいが、実績がないので何を手掛かりにすれば良いのかわからないといった意見を企業から聞くことがある。こうした企業は中小企業庁の特設サイト「ミラサポ」を参考にしてほしい。
例えば「国内で海外への販路開拓をしたい」という要望向けの施策だけでも多くの選択肢を紹介している。中小機構が開設している「J―GoodTech(ジェグテック)」は、優れた製品・技術をもつ日本の中小企業と国内外の信頼できる企業とを結ぶマッチングサイトだ。
同サービスは、製造業や流通業、サービス業など幅広い業種の国内中小企業と海外支援機関が推薦する海外企業計7000社の情報を掲載。国内中小企業1万4000社が登録しており、製品・技術・サービスをサイト内でアピールして、世界中の企業とサイトを通じてコミュニケーションをとることができる。サイトの利用は無料だ。
「海外に直接販路を開拓したい」という要望向けにも多くの施策を紹介している。ジェトロ(日本貿易振興機構)では、海外見本市へジャパン・パビリオンとして中小企業が参加する支援を行っている。主催者への出展申込やブースデザインから施工、出品物の輸送方法まで諸々の手続きをJETROがパッケージで提供。展示会によっては、一部出展経費を補助するなど、単独で出展するよりも手続きの負担は少ないはずだ。
「社員に海外でインターンシップを受けさせたい」また「海外学生のインターンを受け入れたい」といったグローバル人材育成に応える支援もある。国と連携した(一財)海外産業人材育成協会(AOTS)やジェトロ、このほか民間企業の窓口が紹介されている。
前述で紹介した支援策はほんの一例だ。海外展開のほかにも「ミラサポ」ではテーマ別に中小企業の支援策を多く紹介している。自社の課題や要望に適した支援策が必ず見つかるはずだ。活用をお薦めしたい。