産業用ロボットを活用するケースが増えてきた。先月の紙面でも触れたように、関東のある板金加工メーカーではロボットを活用することで厚さ9㍉までの板厚ワッシャーの自動生産を行っている。作業員の負担となっていた工程をロボットにより自動化した形だ。また、ある金型メーカーでは“働き方改革”の一環として省人化を目的にロボット付の加工機を導入しており、一部工程をロボットに行わせることで作業者の負担軽減に繋げている。関係者に話を聞いたところ「金型の製造とロボットの相性はあまり良くはないが、試行錯誤しながら将来はロボットで加工を行いたい」とのことだった。この他にも圧造機に線材をセットする際にロボットを活用しているケースもあると聞く。依然として人手不足の声が止まず、少子高齢化に歯止めがかからない現状を鑑みるとロボットを採用(または不採用)するかどうかもまた企業の宿題となってくるのではないかと思われる。
昨今ではビジネスとして産業用ロボットのリースも始まっており、導入のハードルが下がることから業界においても今後はますますロボットを活用した事例が増えるものと思われる。さて、既存の作業をロボットに行わせるケースとは別に特に各種パーツを生産するフォーマーの工具を交換する際にロボットが活用されているのは周知の通りであり、ここにおいても単腕式ロボットを採用している製品も見られる。しかしこれら機械装置の一つではなく既存の作業をロボットに置き換える際に問題となるのが「ロボットに何をやらせるか」ということであり、特に少量多品種の生産が多くを占める現場においては試行錯誤が必要となってくるだろう。また、そもそもねじの製造が「ボタンを一つ押せばあとはラインを製品が流れていく…」というような単純なものでもない。技能の継承は人材育成にあたっての大きな課題であるが、今後はヒトだけではなくロボットに対しても「いかにして優れた職人になってもらうか」というようなことを考えていかなければならないのかもしれない。なお同じく、昨今では従来のロボットとは異なり作業者と同じ場で稼働させることができる協業ロボットが耳目を集めているが、こちらの活用事例にも注目していきたい。
既報の通り政府は昨年12月に改正入管法を成立させており、2019年4月より順次14分野の業種における外国人の就労を認める在留資格を創設する。受け入れを決定した「産業機械製造業」には「ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業」が含まれており、業界にも少なからぬ影響を及ぼすものと思われる。ヒトもロボットもうまく活用しながら人材難の時代を乗り切っていきたい。