世界貿易が3年ぶりプラス成長

2018年8月13日

 ジェトロの報告によると2017年の世界貿易(輸出額ベース)は前年比10・5%増の17兆3162億㌦(推計)となり3年ぶりのプラス成長に転じた。数量も4・5%増となり金額・数量ともに高い伸びを示している。
 プラスに転じた要因は、世界経済が成長加速したことに加えて燃料や金属の資源価格が高騰したことにあると指摘している。米国の輸出額は6・6%増の1兆5467億㌦。特にカナダ、中国、EU、メキシコ向けに資源関連商品と半導体製造機器やエンジンなど一般機械や化学品、集積回路などの電気機器の輸出が伸びた。中国は7・8%増の2兆2631億㌦。米国、EU、ASEAN向けにスマホなど通信機器やテレビなど電気機器やコンピュータなどの一般機械、化学品が伸びた。ドイツは8・6%増の1兆4487億㌦。EU、中国、米国向けに一般機械、化学品、輸送機器、卑金属や同製品、電気機器の増加が目立った。
 世界的に機械、資源ともに軒並みプラス基調となったが、機械機器のうち高い伸びを示したのは半導体製造機器だ。36・6%増で金額は760億㌦。半導体はスマートフォンやパソコン、テレビや自動車など現在社会に欠かすことのできない製品の多くに使用されている。特に自動車はADAS(先進運転者支援システム)の搭載によりさらに多くの半導体が使用される。関連需要に沸くファスナー企業も多いだろう。
 産業用ロボットも29・9%増の60億㌦と伸びが目立つ。世界の工場は自動化・省力化が進み、その主役に産業用ロボットが踊り出ようとしている。電気自動車向けの需要が拡大しているのはリチウム・イオン蓄電池だ。25・4%増の224億㌦と同じく高い伸びを示している。
 日本の貿易にスポットを当ててみると8・2%増の6972億㌦と2年連続のプラス。貿易収支も263億㌦の黒字を計上した。商品別では一般機械が好調で、特に半導体製造装置は好調を継続、鉱山・建設機械、工作機械も先進国やアジア新興・途上国で投資が回復基調にあることを要因に増加に転じている。この分野ではファスナー需要も大きく影響したと推測できる。2018年も引き続き堅調な伸びが期待できる。
 ただ世界貿易で悩ましい課題となっているのが、米中の関税報復合戦に見られるような貿易制限措置の連鎖だ。WTOの予測では18年の世界貿易数量は4・4%増となる見通しだが、こうした連鎖が世界的に広がれば世界貿易が縮小するリスクを抱えている。すでに18年上半期の新規輸出受注の拡大ペースが鈍化しているデータもあり影響が出始めている可能性がある。貿易戦争がこれ以上発展しないことが求められる。

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