先月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震に続き、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨が記録された。既に広く報じられている通りこの豪雨は気象庁により「平成30年7月豪雨」と命名され、加えて政府より被災地域や被災者に助成や財政援助を特に必要とする激甚災害に指定されている。この場を借りて被災された方にお見舞い申し上げると共に一日も早い復興を願いたい。
過去を見ても一月経たない間に続けて災害が発生した例は非常に珍しいのではないだろうか。大阪府には上町断層帯をはじめ多くの断層帯が存在しており、府は南海トラフ巨大地震をはじめこれらの地帯による巨大地震を想定しているが今回震源となったのはまた別の地帯である新潟神戸歪集中帯だった。今回の地震が発生した際には多くの交通機関が運転を見合わせたため道路が帰宅困難者で溢れかえることとなった。午前8時前に発生した地震は朝の通勤ラッシュを襲う形となったが、出社すべきか、いやそもそも出社できるのか、それとも自宅で待機すべきなのか、等々、多くの人が判断に迷い、それ以上に大きな不安を感じたことだと思う。
地震そして豪雨と、異なる災害に対しては異なる備えが必要だろう。今回の豪雨は想定外の規模であったため被害が拡大したとの声も聞かれたが、あえて書くならば起きてからでは遅いのではないか。この豪雨は交通機関をはじめライフライン、物流そして産業等広い範囲に甚大な被害をもたらした歴史的な水害となった。被害が大きい地域では未だに交通網が寸断されており、関係者からは「順次配送が再開されているようだが、まだ製品が届かない地域があるようだ」という声も聞かれた。
今こそBCPについて改めて考えるべきではないか。それも特定の災害だけではなく、複数の災害に対して備えを進めるべきだろう。近年南海トラフ巨大地震の可能性が話題に上ることが多いためか、災害対策の内容として震災を想定しているケースが多いように見受けられる。しかし今回は地震に加え大雨による災害が短い期間で発生したほか、まだ記憶に新しい事例として今年2月には北陸方面で記録的な大雪があった。関係者の話では積雪のため物流が完全に止まってしまい、従業員総出により何とか製品を納入したとのことだった。
BCPを策定することで被害を極力抑えるほか、取引先からの信頼を高めることもできるのではないか。昨年大阪の業界団体により行われたBCPに関するセミナーでは「備えていても万全な対応は難しいが、備えていないと更に難しくなる」という話があった。企業を守るために、そして大切な命を守るためにBCPについて一度考えてみてはどうか。