世界経済はコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、物価高騰を受けてここ数年低空飛行の状態が続いていたが再び冬の時代へと突入するのだろうか。第二次トランプ政権の発足から3カ月が経過したがその間に世界情勢は明らかに不安定な方向へと傾いている。その中でも景況感は「不安定」という表現では十分でなく、残念ながら明確に「悪化する」方向へと向かっている。
米政権は今月3日に中国からの輸入品に対して10%の追加関税を課す方針を決定しており、加えてメキシコ、カナダの両国に対して25%の関税を課す方針を明確にしている。関税を課された国はいずれも対抗措置を表明しており、第一次トランプ政権の時と同様に世界経済の減速は必至だろう。またメキシコ、カナダの両国は日系自動車メーカーにとっては北米市場向けの重要な生産拠点であり影響が懸念されている。以前より指摘されている通り関税の負担を最終的には受けるのは消費者であり、相手国への政治的圧力を狙いとして軽々に発動して良いものではないはずだ。トランプ氏は円安の是正を求めて日本へも関税をちらつかせながら要求を突きつけようとしているが国益を守るためにも理不尽な要求に対しては自制を促していくべきだ。
一方で国内の景況感を見ると、昨年から引き続いて盛り上がりに欠ける状況が続いている。ねじ類について直近の輸出入の動向を見ると輸出については数量ベースで見ると昨年8月より最新の統計である今年1月まで6カ月連続で前年を下回るペースが続いている。輸入について同じく昨年8月から最新の統計である昨年12月の内容を見ると横ばいもしくは微減となる月があるも概ね増加傾向が見られている。米国をはじめとした関税措置の影響を受けてねじ類の輸出が今後どのような影響を受けるのか動向が注目される。
前年(2024年)はいわゆる「2024年問題」が大きな注目を集めた一年であり、中でも物流そして建設業界では労働時間に上限を課される、もしくは現場を止める時間が増えたことからそれに応じてモノの動きも鈍くなった模様だ。「2024年」と銘打たれているが昨年だけの制度でないことは言うまでもなく、今年以降も時代に応じた働き方に対応しながら事業を進めていく必要に迫られている。その中でも仕事の効率化・省人化が喫緊の課題となっていることには変わりはないが、本紙前号で触れた話題ではあるが政府は中小企業省力化投資補助金の選択肢を拡げており、精度を通じて現場に応じた省力化投資を促している。制度を活用しながら組織の改革そして働き方改革を進めていくべきだ。