労働力不足解消へ、技能実習制度も一考

2025年3月3日

 日本の製造業、特に中小企業が直面する労働力不足問題に対し、外国人労働者の受け入れは重要な対策の一つとして注目されている。中でも、外国人技能実習制度は製造業の現場において貴重な労働力を提供する手段となっている。この制度は、2027年までに育成就労制度へと移行することが決まっているが、母国の経済発展に大きな役割も担っている。ただ、制度の効果を最大化するためには、いくつかの課題を克服する必要がある。
 外国人技能実習生を受け入れる際の大きな課題は、文化や言語の違いを乗り越えるための教育・支援体制の整備だろう。何より日本語の習得や文化適応をサポートするプログラムが必要であり、実習生が業務を円滑に行える環境を整えることが求められる。特に製造業の現場では、技術や業務手順の理解が重要となるため、通訳や日本語教育を含めた支援が欠かせない。
 外国人労働者が企業に定着し、長期的に労働力として活躍できるようにするためには、労働環境の改善や職場での人間関係の構築も重要な要素となる。職場内での交流や文化的な配慮が求められ、労働条件や給与水準の公平性、また人道的な取り組みが必要となる。
 外国人技能実習制度を効果的に活用するためには、実習生が実際に技術を習得し、日本国内での就業を経て母国に帰り、その知識や技術を広めることが期待されている。企業側は、実習生が習得する技能を適切に評価し、実務経験を積ませるための仕組みを整備する必要がある。この制度を通じて、双方にとってウィンウィンの関係を築ければ、労働力不足を解消し、企業の競争力強化にもつながるだろう。
 何よりも、外国人労働者が企業にとって単なる「安価な労働力」としてではなく、共に成長し、企業の競争力を強化するパートナーとして迎える姿勢が、今後ますます重要となる。すでに労働力供給の側面を超え、企業の成長戦略において外国人労働者は欠かせない存在となりつつある。企業側は、単に労働力を確保するだけでなく、彼らが持つ異なる視点やアイデアを活かすための環境整備を行うことが必要だ。外国人労働者を積極的に採用し、スキルアップの機会を提供することは、製造業の競争力向上の鍵となるのだから。
 実際、多くの中小企業が外国人労働者を受け入れることで、労働力不足の問題を一定程度解決し、生産性の向上を実現している。一方で制度運営における不正や問題も存在しており、その解決には労働環境の整備や法制度の充実が欠かせない。外国人労働者が適切に保護され、安心して働ける環境を提供することが、企業の長期的な成長につながっていく。

バナー広告の募集

金属産業新聞のニュースサイトではバナー広告を募集しています。自社サイトや新製品、新サービスのアクセス向上に活用してみませんか。