トランプ政権と大阪万博、期待と不安混じる一年に

2025年1月20日

 前号の小欄でも触れた話題であるが目下のところ本日付で発足する米国の第二次トランプ政権に大きな注目が集まっている。トランプ氏は就任前から他国への内政干渉とも取れる過激な発言を繰り返すと共に自国第一主義の姿勢を鮮明にしており、各国は大きな影響力を持つ超大国が今後どのように振る舞うのか全く見通しが立たない状況に立たされている。第一次トランプ政権の時と同様、米国による関税引き上げは世界経済を冷え込ませる貿易摩擦に発展するリスクが含まれているのに加えて本紙に関係する鋲螺(ねじ)類については世界の一大生産国でもある中国が大幅な関税引き上げを前に輸出先をアメリカから他国へとシフトチェンジを図る可能性がある。
 同じく主に欧米への輸出が多くを占める台湾についても米国の代わりとなる輸出先を模索する必要に迫られるものと思われ、鋲螺業界にとっては米国が保護主義へと舵を切ることで輸入品の流入が増加することが予想される。こうした変化を背景としてこれまでに無かったルートから輸入品が流通する機会が増える可能性が予想される。コロナ禍を境に世界経済は自由主義から保護主義へとシフトしつつあるが、自国第一主義を堂々と掲げる第二次トランプ政権が誕生したことによりその流れは決定的なものになる可能性がある。
 刻々と変化する世界情勢とは裏腹に国内では人材採用や事業継承、適正利益の確保等々課題は山積みの状態となっている。本紙新年特集号のアンケート調査では2024年の賃上げ率について「3%以上4%未満」が最多となる結果となった。今年も春闘の時期が近付いてきたが連合(日本労働組合総連合)は昨年11月末頃今年の賃上げ目標について「全体で5%、中小企業で6%以上」と打ち出している。政府としても物価安定の目標があることから3年連続で賃上げの機運を高めていきたいところだろうが、中小企業にとって6%以上というのは非常に厳しいハードルとなるのは間違いない。
 他に年始の賀詞交歓会では今年が巳年ということもあり商売繁盛を期待する、というような年始の挨拶を何度か聞くことになった。特に関西圏で行われた賀詞交歓会では大阪・関西万博に期待する声が多く聞かれた。4月の開幕からおよそ半年間の会期で2800万人の来場を見込んでいるとのことだがインバウンド需要にも併せて期待したいというところだろう。また万博の経済効果に期待する一方、慢性的な人手不足に悩む建設業界について万博関連の建設作業に一つの区切りがつくことで他の物件へ人手が流れていくことを期待したい。

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