ロボットに〝お使い〟を任せる時代に期待

2024年9月23日

 少子高齢化による労働力不足が長らく問題視されているが、労働力を外国人労働者などで補うべきか、それともAIやロボットで補うべきかが課題となっている。
 今夏、宮崎県のロボットベンチャーと大阪府のねじ卸商社が府内で自動配送ロボットの公道実証実験を行い、約100キログラムのねじを約180メートル離れたユーザー企業に納品し、無事に事業所に戻る事ができた。
 世の中には子供に人生はじめてのお使いをしてもらうテレビ番組もあるが、AIやロボットも成長の過渡期であり、人類は既にロボットに物品を納品させる「はじめての納品」を達成させた事で、いずれ金銭で取引し物品を仕入れる「はじめてのお使い=仕入れ」を任せる可能性も期待したい。
 しかし、課題もある。前述の番組を外国人が観ると、これが「治安の良い国だからできる事」という意見が出ている。SF作家が想定した「ロボット三原則」がそのまま現実にはならない可能性もあるが、ここには次のように記されている。第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならず、その危険を見過ごして人間に危害を及ぼしてはならない。第二条:ロボットは人間からの命令に服従しなければならない。ただし、その命令が第一条に反する場合はこの限りでない。第三条:ロボットは、第一条および第二条に反しない限り、自己を守らなければならない。これらの原則はかなり人間側の性善説に基づいているが、現実はそうとは限らない。
 もしロボットが運んでいる金銭や荷物を狙う人間やロボットが現れたらどうなるのか?ロボット自身の正当防衛が認められても、武力で金銭や荷物を守ることは難しいだろう。さらに、荷物が緊急で投与が必要な薬品や移植用臓器、輸血用血液だった場合、荷物を無事に運べない事が直接的または間接的に人命に関わる可能性もある。現実は複雑であり、アクシデントが発生する可能性は限りなく広がる。
 これらの問題は自動運転車にも共通する。自動運転はレベル0(なし)からレベル5(完全自動運転)まであり、現状ではレベル4(高度運転自動化)が技術的に可能な段階に近づいている。ただし、技術的に可能であっても、法制度面での課題があり、すぐに普及するわけではない。
 そして最終的には、AIやロボットによる仕事の成果は誰のものなのか、という疑問も浮かぶ。人なのか?AIやロボット自身がその功績により一労働者として地位を確立するのか?さらに失敗や損害が発生した場合の責任は誰が負うのか?という問題もある。仕事に対する成果と責任は表裏一体だ。いずれ人が安心してロボットや自動運転車に仕入れや納品を任せる日が来るはずだ。

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