(一社)日本ねじ工業協会(佐藤義則会長=㈱サトーラシ)は、2024年度「ねじ製造技能検定試験」を実施する。これは、ねじ製造に従事する作業者の技能向上と動機付けを目的としたもので、業界における技能の標準化を目指している。
ねじ製造技能検定試験は、ねじ製造に関わる作業者の技能を評価するための資格制度であり、ボルトフォーマー工、ナットフォーマー工、ねじ転造工、タッピング工の4職種に分かれている。それぞれの職種に必要な技能は、業務に従事する上で不可欠であり、作業者の技術力向上を図るための重要な機会となっている。
試験は1級と2級に区分されており、1級は7年以上の業務経験を持つ上級技能者を対象に、2級は3年以上の経験を持つ初級技能者を対象としている。1級では、高度な技術力を求められ、実務での応用能力や問題解決能力が試される。具体的には、段取り作業や検査作業を中心に、実機を用いた実技試験が行われ、各職種の加工機を使用して生産に必要な段取り作業、調整作業、検査作業などが求められる。
また、専門知識の習得状況や、トラブルシューティングに関する筆記試験も実施される。受検者は、自身の職種に関する知識を深め、業務での問題解決能力を高めることが期待されている。
一方、2級では基本的な作図(図面知識)や測定能力、基本的な専門知識を確認する試験が来年度以降に予定されている。この試験は、ねじ製造の基礎を身につけた作業者を育成することを目的としている。
今年度の試験は、1級のボルトフォーマー工、ねじ転造工、タッピング工のみ実施される予定であり、受検者には合格証が交付される。合格証を取得することで、ねじ製造業界でのキャリアアップや技能者としての信頼性を高めることができる。さらに、他の従業員の模範となる技能者として、職場でのリーダーシップを発揮することが期待されている。
受検資格は、1級が7年以上、2級が3年以上の業務経験を必要とする。試験に合格することで、ねじ製造に関する幅広い知識と技能を持つ作業者として認められる。もし全ての試験に合格基準に達しない場合でも、合格基準に達した試験は次年度以降試験免除され、不合格となった試験のみを受検し、受検開始から4年以内に全試験に合格することで、資格を取得することが可能である。ただし、新規に受検した年より4年を経過した時点で全ての試験に合格していなければ、それまで試験免除になっていた科目の免除の権利は失われる。
試験は、10月から翌年2月上旬にかけて実施される(要素試験と学科試験は10月31日)予定で、申込みは7月17日から8月30日まで受け付ける。各地域ごとに限られた数の受検枠が設けられているため、受検希望者は早めの申込みが推奨される。受検料は1級の各試験(学科、要素、作業)で1万円であるが、協会の会員企業の従業員は半額で受検できる。
ねじ製造技能検定試験は、ねじ製造業界全体の技術力向上に寄与することが期待されており、技能者としての地位向上や、次世代の技能者育成にもつながる重要な取り組みとなっている。受検を通じて、作業者自身の技術力を高めるとともに、業界全体の発展に貢献することが求められている。業界の未来を担う技能者の育成を目的としたこの試験に、多くの作業者が参加し、技術力を高めていくことが期待されている。
申し込みは(一社)日本ねじ工業協会ウェブサイト(https://www.fij.or.jp)まで。なお、検定試験向けの「ねじ製造技能検定講習会」も実施される(詳細は4面に掲載)。