2024年は盛り上がりに欠けたまま上期が過ぎてしまったが下期についてもめぼしい材料は見当たらず我慢の時間が続きそうだ。歴史的な円安基調が戻ることはなく、日銀による介入とされる揺り戻しもあったが7月初め時点では再び1ドル160円台に突入してしまった。円安による輸出への恩恵だけでなくエネルギーコストの上昇といった弊害が目立っているが、米国は利下げについては慎重な姿勢を崩しておらず円安に歯止めがかからない状況が続いている。
また現在は記録的な円安もあって割安感が大きいことから海外からの観光客が増加傾向にあるがこれ以上円安が進んでしまうとかつて2010年代初頭に記録的な円高を受けて国内企業がタイへと出ていったように海外企業による日本への進出が加速するといった現象が起きてもおかしくはないだろう。国内を見ると半導体産業への投資が盛り上がっており、台湾・TSMCによる熊本工場(JASM)をはじめ北海道のラピダス、また投資規模は小さいが米・マイクロンによる広島工場の話もある。まさに列島を縦断するかのようにシリコンアイランドが形成されつつあるが業界全体が半導体の国産化による恩恵を受けるのはまだ先の話になりそうだ。
そして今年下期、11月には日本はもちろん世界の政治・経済情勢に大きな影響を及ぼすことが予想される出来事が控えている。米国の大統領選である。前大統領のトランプ氏が再び返り咲いた場合米国が再び国際協調路線から外れるのは確実で、気候変動への対応や国家間での紛争解決といった国々が一つとなって取り組まなければならない問題が停滞することが予想される。
またウクライナや中東をはじめ、東アジア地域おける安全保障はより不安定なものになり国家間でのストレスが高まることが予想されている。そしてトランプ氏が2期目においても中国に対して厳しい態度で臨んだ場合、特に貿易については現時点で対中関税を引き上げることを明言しているため米中貿易摩擦の激化は避けられず貿易戦争による景気減速が懸念される。
また中国現地でのビジネス環境は今よりも更に厳しいものになることが予想され、米大統領選の結果及び影響が読み切れないため今後中国向けの投資という選択肢は難しいものになる。他方で現職のバイデン氏が続投するにしても高齢が不安視されており、先行きが不透明な政権運営となることは間違いないだろう。世界的な潮流として自由主義的な経済から保護主義へとシフトし、国家間での分断が進む中大国の政治経済に振り回される状況が続いてきたが今年は一つの節目となることが予想される。動向を注視したい。