再認識しよう、規格の重要性

2024年5月27日

 今年も本紙は「ねじの日」特集号をお送りする。
 1949(昭和24)年6月1日に工業標準化法が制定された際にJISとしてねじ製品類が指定され、その後1975(昭和50)年7月にねじ商工連盟が「ねじ」の重要性を知ってもらう為に制定となった。今年で3四半世紀=75年が経つが長く基準とされてきたのは意義深い。
 時評子は本紙における今回の特集としてJIS A1503「木質構造用ねじの試験方法」及び製品の仕様としてのJIS A5559「木質構造用ねじ」の制定について取材したが、新たに規格を作成、そして社会に対して影響力を持たせて普及させる為に法律・制度として決めてゆく流れには産官学で多くの時間と労力そして知見が必要な事を改めて実感した。
 世界的には木質構造用ねじに関してヨーロッパでは既に欧州統一規格があるが、これは地震多発国日本での使用に適しているとは言い難いとの事で、今回のJISでは日本での基準ならばニュージーランド(環太平洋造山帯)やヨーロッパでもアルプス山脈付近にある国(アルプス・ヒマラヤ造山帯)といった厳しい条件下でも通用する基準として、国際的なイニシアティブをとって国内に留まらず海外に普及すれば、産業としての需要拡大だけでなく安全性の向上もできると期待している面もある。
 規格とは性能・品質だけでなく、それを使用した際の安全性も保証する基準ともなる分かり易い事例といえる。
 また次のような話も聞いた。
 ―規格とはスポーツのルールのような面もある。柔道が『一本』で勝敗を決める事を重視していたのが、世界に広がっていく過程で『一本』にこだわらないレスリングに近いJUDOになっていった。日本の柔道が得意・強い選手が世界のJUDOではそうとは限らない。どこまで規格やルールを普及させようとするのか?普及させていく先にどこまで合わせて変更していくか?逆に変更しないようにするのか?有利なようにイニシアティブをとっていくのが難しい―。
 規格とは国単独に限らず国家間で共通認識とする事で利便性を図る為に必要だが、これは各国の法律や制度とは別の経済や産業におけるルールとしての面もあり、国や企業の思惑だけでなく、その影響力の強さも関わってくる。産業として考えれば外国と同じ規格にする事は同じルールで競争するも同然で、貿易において売り込む事(輸出)もしやすければ売り込んでくる事(輸入)もありうる。
 社会が共通認識として利便性を高めるもの、それが規格であり重要性は常に再認識する必要がある。

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