新年度となって多くの業界団体で総会が開かれたが、新型コロナウイルス感染症が5月8日から感染症法上で2類から5類に引き下げられた事に伴い、開催方法が書面決議やオンライン会議から従来のリアル会議に移行しつつある。また不特定多数の人間が会場に出入りする展示会も出入り口にサーモセンサーや消毒液が設置され、アナウンス等で対策している説明、また来場者への対策呼びかけはしているが、会場の盛況具合から社会はコロナ前の状況を取り戻すべく進んでいるのが感じられる。
しかし重要な事はワクチンによる予防法確立やこの約3年半で対処療法のノウハウが蓄積されたのであって、ウイルス自体を根絶したり特効薬が開発されたという訳ではなく、法的に対策が緩められただけであり、ウイルスにとっては人間の都合など関係なく脅威であり続ける点だ。
そしてその間、マスク着用や手指の消毒が徹底された影響で、風邪やインフルエンザ等の感染者も減っており役立っていた事が証明された。忘れがちだがコロナだけが感染症ではないし、それ以外にも様々な病気、そして労働災害等をはじめ怪我と健康への課題は多々ある。
BCP(事業継続計画)にも関係する問題だが、経営者でも従業員でも人1人が元気に働けるという事の大事さについて、健康を損なって働けなくなる事による機会損失ではじめて・改めて分かってからでは遅いはずだ。ねじ・ばね業界は中小規模の事業者が多いが、それは日々の業務で1人が欠ける事による影響の大きさにも繋がっている。
そんな中で各社は様々な取組を進めているが、健康診断の充実やラジオ体操等だけでなく、ITを駆使して業務だけでなく健康も「見える化」しようとする企業もある。或る企業はアプリを導入し、歩数だけでなく体重・食事・禁酒・禁煙等を記録して、それに応じてポイントを付与するだけでなく、エクササイズの動画を視聴する事もできる。
そして昨今ではメンタルヘルスに関心が高まっているが、この企業では通話アプリを使って保健師と無料で相談できる仕組みを導入。匿名も可能としてなかなか聞きにくい相談もし易くしており、心だけでなく体の不調や症状に対して、どの医療機関で見て貰うのが良いのか、聞く事ができる。
1947年に採択されたWHO憲章の前文では「健康」について「病気でないとか、弱っていないという事ではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にある事」と定義している。仕事のパフォーマンスを支える健康は容易く失われてしまうが、その対策で出来る事は多くあるはずだ。