第9回「ものづくり日本大賞」が決定した。本紙関連では、内閣総理大臣賞に㈱ミスミグループ本社(東京都)の『製造業における部品調達のデジタル革命「meviy」(メヴィー)』が受賞。経済産業大臣賞・優秀賞に㈱ニッセー(山梨県)などの『世界最高性能の「緩まないねじ」とその量産用転造金型の開発』が受賞した。
同賞は製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち特に優秀と認められる人材を顕彰するもの。経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省の連携によるもの今回で9回目を迎える。今回、関係4省において8件27名の内閣総理大臣賞受賞者を決定。経済産業省では、上記の内閣総理大臣賞に加えて13件59名、1団体の経済産業大臣賞、28件144名、1団体の優秀賞の受賞者をそれぞれ決定した。
▽製造業における部品調達のデジタル革命「meviy」(メヴィー)=受賞者:吉田光伸/鈴木雅之/柳沢将人/芝田篤史(㈱ミスミグループ本社)
「meviy」は、機械部品の設計データ(3Dデータ)をアップロードすると、AIが部品の形状を認識して見積もり、納期までを自動で回答。同時に、自動で工作機械用のプログラムを生成、工場側に転送し加工が即時にスタートする。利用対象は工場等で稼働する生産設備・装置・治具等に使用される機械加工部品となり、板金・切削・旋盤加工と幅広い顧客ニーズに対応する。部品調達時間を9割削減し、通常は2週間から1カ月程度かかる製造納期を最短1日で出荷するという超短納期生産を実現している。無料の会員登録で24時間・365日いつでも何度でも利用が可能。2021年から本格的に海外展開を開始した。
▽世界最高性能の「緩まないねじ」とその量産用転造金型の開発=受賞者:天野秀一/沖本悠暉(㈱ニッセー)、志村穣(公立諏訪東京理科大学)、桑原利彦(国立大学法人東京農工大学)、竹増光家(ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ)、坂本誠(東京都公立大学法人東京都立産業技術高等専門学校)
「緩まないねじ」は、1本のボルトに大小2種の複雑なリードのねじ山を持つボルトで構成されており、外側ナットの機械的な干渉効果により高い緩み止め性能を持つ。普通の工具でも簡単にメンテナンスができる構造を開発し、これまで実現が困難であった「緩み止め性」「作業性」を両立させることに成功した。さらに、複雑なねじ山を量産する転造用金型を開発し、ゆるまないねじの製造・販売権を国内外のねじメーカーに貸与するライセンス事業を展開することで「緩まないねじ」の普及の加速化を図り、社会の安心・安全に貢献している。