迫る物流危機、次世代技術との共存を

2022年10月17日

 再びコロナ禍前を思わせるような活気が出てきた。各所で報じられている通り11日から政府支援による「全国旅行支援」が始まっており、本号が発行される頃には水際対策の規制緩和も実施されていることから外国人観光客の姿も各地で散見されるようになっているものと予想される。今月初旬に大阪で開催された鋲螺関係の展示会を含む「関西ものづくりワールド」には2万7162人が訪れたとのことだが3日間を通じて同じくコロナ禍が続く中行われた前回よりも多くの関係者で賑わっていた模様だ。
 なお同展は来年より東京・名古屋・大阪に加えて新たに福岡でも開催されるとのことであり、九州地方の関係者との交流が期待される。鋲螺業界と関係が深い展示会では来年は「MF―TOKYO」が実に4年ぶりに現地で開催されるほか、商社を中心に毎回多くの業界関係者が訪れる「台湾国際ファスニング見本市」も5年ぶりに台湾・高雄市で開催される見込みだ。特に海外展示会は産業構造が変化する中鋲螺業界でのトレンドをグローバルな視点から確かめる貴重な機会になるだろう。同展は国際色豊かな展示会として知られており、来年の開催が期待される。
 周知の通りコロナ禍と共に非対面・非接触の習慣が浸透していくと共に自動化や省人化についても注目される場面が増えた。こうした「人を減らす」動き、言い換えれば人的資源を最大限効率的に活用しようとする動きはコロナ禍の終息と共に元に戻るどころか今後一層加速していくものと思われる。鋲螺業界ではある在阪大手商社が配送ロボットのベンチャー企業と共同でロボットを活用した自動配送を実現しようと取り組みを進めているが、自社内での物流に加えて近隣企業への配送でも活用したいとのことだった。
 現時点でも物流関連の人手不足が深刻化しているのに加えて将来改善する見込みは薄く、更に短期的には特に今後低迷期を脱出していくにつれて人員がひっ迫することが予想され、その時物流業界は人員確保や問題視されている待遇の改善に再び動かざるをえないだろう。少子高齢化社会への移行が警告されて久しいが、将来「注文を受けた製品を指定の日時に配送する」という業務の一過程が業界の課題として降りかかって来ないとは決して言えなくはないか。
 自動配送(運転)という分野自体が途上にある技術ではあるが、コロナ禍を受けて非接触の慣習との共存を図ることができたように人口減少を受けてロボットとの共存を図ることもできるはずだ。その際業界として共存共栄を図るべく現時点から受け入れられる土壌を作るためにも次世代技術に関する情報及び意見の交換は積極的に行うべきではなかろうか。

バナー広告の募集

金属産業新聞のニュースサイトではバナー広告を募集しています。自社サイトや新製品、新サービスのアクセス向上に活用してみませんか。