オミクロン株が新たに発見された当初から第6波の到来は確実視されていた。感染力の強い変異株であるとは言われていたが、まさかこんなにも短い期間で感染者数が急激に増えるとは予測できなかったのではないだろうか。感染者数は三が日を過ぎた途端に爆発的に増え始め、先週には過去最高となる全国で1日あたり3万人超の新規感染者が確認されている。オミクロン株は重症化しにくいとの情報もあるが、法人・団体としては感染者数が出た時の対応は(一部条件が緩和された要素もあるが)これまで同様に行う必要があるため結果として医療従事者を筆頭に「働き手不足」という悩ましい問題が顕在化している。
ところで、当然のことではあるがコロナ禍等の問題が続いている中でも各社は事業の継続そして更なる発展に向けて投資を行っている。在阪ねじ商社を見ていると今年は大手企業による物流拠点の増築や大型投資による新築といった事例が目立つ。グローバル化そして二極化が言われて久しい国内の産業構造ではあるが、鋲螺業界においても特に近年人手不足や後継者不足等による廃業件数の増加を背景として体力のある企業はプラットフォーマーとしてのポジションを確立すべく動いているように見える。中堅企業を中心にウェブ発注システムの立ち上げ及びバージョンアップが進んでいる点は見逃せず、今後の動向が注目される。また一時期話題に上がった「事業再構築補助金」の採択結果を見るとナットメーカーやパーツメーカー、金型メーカーといった鋲螺業界に関連する企業の名前が複数見られ、その中には水素エネルギー業界への参入を掲げている企業や、あるいは歯車メーカーが精密ねじの製造を新たに行うといったケースもあるようだ。
コロナ禍も3年目に入ったとはいえ未知の感染症であることに変わりはない。その脅威を軽んじることがあってはいけないが、ワクチン接種率も進んだ現状で果たして従来通りの対応を型通りに繰り返す必要はあるのだろうか。産業界は鉄鋼材料の高騰をはじめ物流についてもコンテナ不足や運賃高騰といった悩ましい問題が噴出している。昨秋より感染者数減少という好材料の後押しもありコロナ禍の中止まっていた案件が動き出し、コロナ禍で国内経済をけん引していた自動車、半導体といった分野だけでなく土木、建築、住宅分野でも動きがあったようだが、ここに来ての感染爆発は社会活動に大きなマイナスを与えると見て間違いない。材料高騰、物流停滞、モノ不足という三重苦の中にある中小企業をこれ以上疲弊させないためにも政府はこれまでの成果を踏まえた対応を取るべきだ。