事業継承やBCPといった言葉が頻繁に言われるようになったが、集団という点では会社だけでなく家庭も同じだ。
一例を挙げると、個人的な事だが年末に時評子の伯母(父の妹)が70代で癌により亡くなった。祖父・祖母(父・伯母の父・母)も既に亡くなっているが、祖母は90代の長寿で亡くなっており男女の平均寿命から父は「自分よりは長生きする」と思っていたのであろうか、見るからに精神的に弱っていた。
悲しみながらも家族がしなければならないのが諸々の「手続き」。期日を守りながら葬儀に合わせて書類を関係各方面に順番通りに申請・提出・受け取りしたり、その間にも親交のあった方々から弔問もあり応対して、色々同時進行で進めなければならない。
さらに相続。有るか無いかに関わらず現金、有価証券―といった財産といえる全てを家中の貴重品・重要書類がありそうな場所を調べ、悲しさと忙しさの中でもまとめて資料作成して税理士に提出しなければならない。
そして父が相続する事になったがその為に税理士が自宅に訪問する事となり、年末の忙しい中で休暇を取って時評子も相談・説明に立ち会ったが、2時間以上の長丁場になると父が疲れてきたように見える。
相談・説明に出席して正解だったかもしれない。やはり重要な会議にはトップだけでなくそれに準ずる人も立ち会わなければならないと実感する。家庭も会社も権限や責務の移譲は事前に想定や準備をしてスムーズにしないといけないと思わされる。家族は会社と違って代わりは利かない。しかし会社のように「申し送り事項・引継ぎ」は大事だ。
話は変わって会社―。前述の「代わりが利く」とは末端となる人材の使い捨てという意味でネガティブに使われがちだが、トップだろうと末端だろうと「代わりが利く」組織は問題が発生した時に強いはずだ。「縁起でもない」と言われても「もしも」の事態を考えなければならないし、その前に現役引退しなければならない程に衰える事も、急に怪我や病気で満足に働けなくなる事もある。
社会も様々な災害を経てBCPへの意識が高まってきたかもしれないが、平時・非常時に関わらず人・物・金が失われないようにする対策と同時に、もし失われた時に対応できる体制構築もしなければならないのかもしれない。
設備が稼働しなくなったら?社員やその家族に「何か」あって急に・長期的に休む事になったら?社内の何人が欠けても業務ができる体制か?製造・販売している物・サービスの質・量を維持できるか?これも広義的なBCPと言えるだろう。