上場20社四半期の業績は前年比で平均23%の売上増

2021年12月13日

 本紙関連業界の上場企業各社から7~9月期の四半期決算短信が発表された。調査対象となる20社の内、前年同期比で売上が上昇したのは18社、下落したのは1社で、前年同期比で平均23・4%の増加。前年からの新型コロナウイルス感染症に対しワクチン接種が進み国内外の経済が回復傾向にあるが、ユーザーが自動車産業の企業では半導体不足の影響もあるが堅調に推移。土木・建築業向けの企業ではオリンピック・パラリンピック直後を過ぎた影響や、大型物件・木造住宅が増加。しかし鋼材をはじめ材料価格のほか供給問題や輸送コストの高騰が懸念されつつある。
 調査対象の企業はねじメーカー3社、ばねメーカー2社、商社3社、周辺産業6社、複合的な企業6社が対象となる。
 前年同期比で売上が増加したのは18社で最大51・3%~最小0・7%で平均23・4%。非公表が1社。減少したのは1社となった。営業利益が増加したのは12社で最大510・8%~最小0・4%で平均151・6%。前年同期が利益無し(損失)は7社。減少したのは1社となった。経常利益が増加したのは12社で最大240・8%~最小4・7%で平均153・2%。前年同期が利益無し(損失)は7社。減少したのは1社となった。純利益が増加したのは13社で最大603・8%~最小2・2%で平均183・6%。前年同期が利益無し(損失)は6社。減少したのは1社となった。
 ねじメーカーは、自動車産業が堅調に推移しているものの、半導体不足や部品供給不足が影響。住宅では木造着工戸数が回復傾向だが材料価格や輸入価格が上昇している。
 ばねメーカーでは自動車産業はコロナウイルス禍の影響からは回復傾向だが一部先進国・東南アジア・新興国の経済回復が遅れ、半導体・樹脂材料の不足だけでなく材料価格や輸送コスト高騰も影響。医療向けは好調に推移している。
 商社では自動車産業は半導体不足と東南アジアからの部品不足とそれに伴う生産調整の影響もあったが前年比では回復傾向となった。周辺産業では自動車産業・工作機械向けで受注が回復し、土木・建築は堅調に推移。焼入帯鋼や板金加工品の製造及び特殊帯鋼や普通鋼の販売は好調となっている。
 複合的な企業ではファスナー製品が自動車産業の半導体不足による生産調整で需要が減少する一方で自粛生活やテレワークによるゲーム・パソコン向け及び車載用ECU向けは好調となった。建築・土木分野においてオリ・パラ後で端境期を脱し回復基調とみられて大型物件は鉄鋼需要が回復してハイテンションボルト・鋲螺・機械・工具が堅調に推移し、資材の値上げ前買い込みも。その一方で価格高騰による納期長期化で工程遅延も起きている。土木製品は前年同期に比べ災害復旧工事案件が減少、構造機材製品はコロナ禍でホテル着工件数の減少で低調に推移、建材製商品は米国でコロナ禍からの住宅市場回復により好調なところも。各種設備工事では民間・公共工事とも需要回復傾向で、あと施工アンカーやドリル・ファスナー製品が好調となった。ファスナー以外では、ボールベアリングが、データセンター向けサーバーのファンモーター用として好調。ロッドエンドベアリングが航空機産業の需要減で減少となった企業もあった。
 調査の対象とした企業は次の通り(五十音順)。
 ㈱アドバネクス、アマテイ㈱、岡部㈱、㈱大谷工業、㈱オーハシテクニカ、高周波熱錬㈱、コンドーテック㈱、サンコーテクノ㈱、㈱サンユウ、㈱タツミ、㈱テクノアソシエ、那須電機鉄工㈱、日東精工㈱、㈱パイオラックス、阪和興業㈱、ミネベアミツミ㈱、モリテック スチール㈱、㈱ヤマシナ、ユニオンツール㈱、㈱ロブテックス―。