一時的かもしれないが新型コロナウイルス感染症の拡大も落ち着き、街中では歳の市のような年末年始に関わる祭り及び市が例年通りに開催されるところもあるようだ。
「祭り」…一説には「(神が来るのを)待つ」が語源らしい。本来は現代のように神社に常に居るという感覚はあまり無かったのかもしれない。そして「市」…一説には「斎く(いつく)」が語源らしい。
祭りがあって人が集まれば自ずとモノ・サービス・カネ・情報のやり取りが発生し市場が形成されるからだろう。政教分離が進む前は宗教と政治が不可分だったように、宗教と経済も不可分だった面が強いはずだ。
そして現代―。経済・文化活動のみの「祭り」ともいえる展示会・イベントが開催されるようになったが新型コロナウイルス感染症により、この約2年間はリアル展示会が中止・延期もしくはオンライン展示会との併催か、それのみとなる事が多かった。
本紙では今回オンライン展示会の特集を組んでいるが、取材先の企業からは「今までリアル展示会開催のタイミングに合わせて新製品開発・発表を行っており、それが無いと明確な期限も無くなってしまい、いつまでも進まないのかもしれない」という旨で話もあった。
新製品・商品でなくても展示会のタイミングでカタログを更新したりする企業もあり、日々の業務というケの日=日常に対して、ハレの日=非日常が展示会ともいえる。これは年末年始・年度末年度始・決算期に準ずるぐらいの「節目」だろう。
しかし或るオンライン展示会の開催概要を見てみると会期が「今夏から来年3月31日までを予定※常設展として会期延長の可能性あり」と半年以上もあり、これは展示会と言えるのか?とも考えさせられた。
時期や場所を限定して「ハレ」となるリアル展示会、時期も場所も限定しない「ケ」となる各社ホームページ。その中間の立ち位置で、会期は限定するが物理的な場所は限定せずネット上の場所(サイト)のみ限定するのがオンライン展示会のはずであり、会期が長くなれば長くなるほど「ありがたみ」が薄れてしまう。
そしてオンライン展示会は普段から公開されている出展各社のホームページの「寄り合い」になってしまう可能性もあり、閲覧する参加者にとって各社のホームページ以上に情報等の「何か」が得られるように差別化が課題なはずだ。
新型コロナウイルス感染症が終息した後にはリアル・オンライン展示会の併催が基本となるだろうが、ひょっとしたらカメラ搭載のロボットが会場内を代理で巡ってオンライン参加とする事もあるかもしれない。