スムーズな世代交代

2021年5月31日

 今年も記念日「ねじの日」を迎える。以前「ばねの日」が業界団体からでなく一ばねメーカーが申請した際に申請先の(一社)日本記念日協会HPを調べてみたが、いかに多くの記念日、そして業界及び団体があるのかと思わされた。
 ねじ業界にとって重要な記念日だが、世間一般から見れば数多ある記念日、そして文字通り〝社会を構成〟している業界の一つだと思わされる。
 世間が「ねじ」に感心を持った機会としてはドラマ「半沢直樹」があった。放送期間中に時評子が街を歩いている際に子供が「倍返しだ!」と叫んだり便乗商品の売れ行きで影響力には驚いた。もし子供達がファンであり続けたり就職する年齢となった頃に覚えていて目指すのは、主人公の父親のようにねじメーカーや劇中の「樹脂ねじ」を思い出して樹脂加工業か、もしくはねじ商社だろうか?それとも主人公のように銀行で金融業だろうか?
 若者は就職にねじ企業を〝選ぶ〟、いやコロナ禍で一時的に企業にとって買い手市場になったとはいえ、長期的に解決する見込みがない少子化の昨今で若者が〝選んでくれる〟のだろうか?
 事業継承の重要性が説かれて久しいが経営陣だけでなく、従業員の世代交代もスムーズにいかないと会社は成り立たない。就業においてイメージだけではダメだろうが、待遇だけでなく若者が家族・親戚・友人・知人にねじメーカー・商社勤務を誇って話せる雰囲気も大事かもしれない。
 或るばねメーカーを訪問した際、工業高校の生徒だった若者が就職したきっかけを社長に聞いたところ、在学中に教師から「ばねは面白い」と説かれて就職した例もあるそうで、かつてのバブル期とは違う〝青田買い〟が進むのかもしれない。
 そしてそのメーカーは60~70代のベテラン世代が半数近くとの事で若者を積極的に採用しているが、中堅世代層が薄く、ベテラン世代が現役の内にいかに技術を伝えるか、そしてこの世代は職人気質なので技術は素晴らしいが次の世代に教えて引き継ぐのが難しい―と課題も話していた。
 一方、従業員の世代交代や年齢・スキル習得の構成が順調なねじメーカーを訪問した際は、喫緊でなくとも設備導入を定期的に行っていると説明があった。理由は旧型設備で品質・性能に問題なくとも、技術のブランクが大きい新型機を導入すると現場が使い慣れない可能性、そして「設備は資金があれば他所(同業者)も買えるので、怠ると技術的に置いていかれてしまう」とも話していた。
 経営陣、従業員、そして設備。世代交代は並行してスムーズに進めないとならないのだろう。

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