変革の時、今こそ知恵を結集する時

2021年1月4日

 新たな年を迎えた。年の変わり目を一つの区切りとして新たな門出を迎えたい、のはやまやまだがやはりこの話題を避けて通ることはできないだろう。まだ当面の間新型コロナウイルスと向き合う時間が続きそうだ。昨秋から年末にかけては特に一部自動車及び自動車部品メーカーの回復基調が鮮明となり、関連する企業はその対応に追われたとのことだが他方で鋼材供給が不安定化するなど新たな問題に直面することとなった。また束の間見えた回復ムードも欧州をはじめ国内でも感染が拡大していることから経済活動が再び長期に渡って停滞する懸念が続いている。
 昨年12月に日本政策金融公庫により行われた「2021年の中小企業の景況見通し」調査では21年の景況について総じてみれば「改善する」と答えた企業が多いという結果だったが、設備投資関連、乗用車関連、電気・電子関連では20年比はもちろん19年比を超えて改善すると答えた企業が多かった。他方で21年の「経営上の不安要素」を尋ねた個所ではやはり「新型コロナウイルス感染症の影響」を不安要素として挙げる声が最も多く、加えて国内の消費不振や取引先の経営不安を心配する声が強まった一方で「人材の不足、育成難」「原材料価格、燃料コストの高騰」を挙げた企業が前回(20年)、前々回(19年)よりもおよそ3割近く減少するなど、コロナ禍が経済社会に与えた影響を垣間見ることができる。もちろんそれらも課題の一つではあるが、コロナ禍の方がより切実な問題となっているということなのだろう。
 昨年はコロナ禍を受けてデジタル技術の活用が大いに進んだ一年だったが、今年もこの動きは変わらないだろう。感染症による世界的な景気後退を経験した後で帰るべき“日常”はもはや存在しない。ねじ業界ではデジタル技術を活用した営業を積極的に推し進めるべく、PR等に利用する動画の制作やウェブ会議・商談・セミナーを行う「スタジオ」を社内に設ける企業も現れた。また世界的に脱ガソリン車に向けた動きが加速していることも見逃せない。自動車産業はねじ業界における主要な需要家の一つであり、線材を加工する圧造機(フォーマー)も同産業の存在に大きく影響されてきた。これら社会そして産業構造が大きく変化する時こそ団結の力が一層と必要とされるのではなかろうか。昨年は活動停止を余儀なくされた業界団体が大半であったが、情報交換の場は今後ますます重要になると思われる。そして不透明な情勢の中業界としての課題を検討し、提示することは多くの企業にとっての道標になるのではないか。本紙もその一助となれるよう努めたい。

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