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五地域大会、程よい距離感で国益に

五地域交流大会が中国最大の都市、上海で開催された。議論となったのは開催方式の有り方だ。昨年の日本開催時から議論され昨年は結論を見送ったが、今回の代表者会議において、ひとまずの着地点を得た。開催頻度の削減を望む日韓と毎年開催を望む中国との議論の結果、代表者会議はこれまで通り毎年継続し、代表団の派遣は二年毎とすることで合意したわけだが、交流大会の参加者側・主催者側双方の負担軽減を成しつつ、五地域の情報交換が途切れることが無いよう、程よくバランスを取ったものとして、評価したい。

代表者会議とは業界団体の代表者、すなわち(一社)日本ねじ工業協会と中国の会長、台湾と韓国の理事長、香港の主席による少人数の会合だ。対して、代表団の派遣となると各地域とも数十人規模となる。これが軽減されたことで、我が国は他の既存事業または新規の交流事業により多くの時間と財・労力を割くことが出来るようになる。例えば、平成28年から始まったドイツねじ協会との交流だ。インダストリー4・0の工業先進地に、その省力化・効率化・高品質化のための技術や職人の育成制度等について学ぶところは大きい。また、関西ねじ協同組合では今年イタリアを訪れ、世界的な高級自動車メーカーの高品質要求の中で生き抜くイタリアねじ産業を視察しており、ドイツやイタリアなどの高水準な技術は、更なる向上を目指す日本にとって見習うところが大きいはずだ。

五地域大会の交流上のメリットはと言うと、良し悪しのどちらもある。五地域の中で、また世界の中でねじ製造技術の先頭を走る日本にとって、東アジア諸地域のメーカー団体と大規模な交流を行うものの、技術面でのメリットはと言うと現状では少ない。また、大規模な開催は負担となるばかりか、時に形式的な集まりとなってしまったり、参加者数の多い中華圏に圧倒されてどんちゃん騒ぎの懇親会に終始してしまったりする恐れもある。しかし一方では、東アジア地域のライバル国・地域が日本に追いつき追い越そうと努力する姿勢と取り組み、その熱気や勢いを体感するには、直接顔を合わせてみるのが最良であるというのも事実であり、日本を取り巻く近隣地域の定点観測という点で、定期的な交流には意義がある。また、五地域交流大会のメンバーとして日本が名を連ねることによって、普段なかなか得られない中・台・香・韓のねじの生産統計・輸出入統計など、貴重な資料を得られるのもメリットの一つだ。

開催規模が大きくなり過ぎないように、されど疎遠にもなり過ぎず、必要な情報は入手しながら、上手に開催・参加して国益に繋げる。これが最善だ。

2018/11/05 金属産業新聞