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必要・不必要を見極めた経営改革を

大塚家具の経営不振と身売り問題が世間を賑わす。伝統と改革の対立は難しい問題だが、この騒動は社会に問題提起がなされたインパクトあふれる事例として、多くの経営者にとって参考・勉強になっているのではなかろうか。

伝統を打ち破って、もしくは打ち捨ててでも革新に打ってでるだけの勝算があるのなら、どんどん打ってでるべきだ。いつの世も風雲児が周囲の反対を押し切ってでも時代を開拓するものだ。ところが…、どんな改革でもそこに先見の明が備わっていなければ、ただ単に無謀な行いになってしまう。偶然にも成功してしまえば、行動力あふれる勇気の勝利として賞賛されるであろうが、単なる偶然であってはならない。その次にある二度目・三度目の改革を成功させるためには、やはり先を見通す勝算が必要なのだ。

会員制で係りが付きっきりで案内するという、消費者にとってはいわばステータスを満足させる制度が廃止さたことで既存客が離れていく。自由に回って好きなように見たいと思う客層はイケアやニトリで大衆的な価格帯・今風のデザインの製品を求める。顧客がその企業に何を求めているのか、既存のサービス・製品の何を魅力だと感じて現在の売上に繋がっているのかを把握しておく必要がある。

もっとも、どのような状況下でも保守的な伝統内に閉じこもってしまうのは良くない。もし改革が吉であれば改革するべきだ。この際、自分の会社はこれからどのような方向に進むべきなのか、また進みたいか、そのためには、手を付けるべき改革と残すべき伝統のバランス・位置づけ・内容をどうするか、また、顧客からはどのようなサービス・商品の改革が求められているか、本当に必要な改革であるか、不必要な改革が含まれてないか、そして、それらの改革はどの程度可能か、これらを正しく熟慮した判断がなされるならば、改革は成功する。

例えばオンキョーだ。それまで伝統的なオーディオ装置である大型アンプ・大型スピーカを専門に製造してきたオンキョーは、同じく大型機を製造する他のメーカーとの厳しい競争のなかで新たな市場を開拓すべく、持ち運びに便利なポータブルプレーヤーの製造、さらにインターネットの音楽ダウンロードサービスとの連携など、最新トレンドの分野に踏み入った。大型機メーカーが小型機の分野で高音質を提供したのだ。これが功を奏し商品はヒット。さらに近頃はノートパソコンの内蔵スピーカへの採用も増えるなど、二度目、三度目のヒットを成功させている。顧客が求めているのは同社の持つ高品質(高音質)と上記のトレンドであり、これにマッチしたのである。大塚家具の場合、顧客が求めているのは同社の高品質と会員制に基づく特別感なのである。

2018/09/10 金属産業新聞