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インフレマインド

ホテルに宿泊する際「窓のある御部屋になさいますか?」と聞かれる…。1929年にアメリカで世界大恐慌が起こった際、株の大暴落を受けて投資家が窓から飛び降りる事が多かった為のエピソードだが、昨今の日本でも仮想通貨バブルとその崩壊の時期に鉄道の人身事故発生と因果関係があるようで、戦争・災害・犯罪等とは違い、経済は時に間接的に人を殺す。

今月で2008年のリーマンショック発生からちょうど10年。8月の(一社)日本工作機械工業会による毎月の定例会見の際に時評子も前後の年間受注高を聞いてみたが、2006年が1兆4370億円(前年比5・4%増)、07年が1兆5900億円(同10・6%増%)と増加していったが、08年は夏までは順調でありながら秋以降の影響が大きく1兆3011億円(同18・2%減)と減少に転じ、09年が4118億円(同68・4%減)と、やはり設備投資というものは景気が良くなって需要の見通しが立ってから遅れて発注され、景気が悪くなるとすぐさま発注が減る為、一つの指標になる―と説明された。

そして10年には9786億円(同137・6%増)と回復基調に転じてはいるが、以前の水準の07年近くになったのは14年の1兆5094億円、(同35・1%増)、超えたのは17年の1兆6456億円(同31・6%増)と、6〜9年も回復に要しており、いかに後々まで影響があったかが伺える。

資本主義経済である以上、先を見据えた「見込み生産」や「投資」による利益…リターンと、もし計画通り行かなかった場合の損害…リスクがあり、それによる経済成長と縮小、そして時には急激な崩壊によるパニックが起こる。

損害を受けるのが投資家だけならまだしも、一般消費者や労働者=給与所得で生活している人々、さらに発生した国だけでなく、取引先といえる貿易や投資で経済的な繋がりのある国まで影響を受けてしまう。

リーマンショックの原因は、持ち家の為の住宅ローン融資先として信用度の高い優良顧客(プライム)に準じる(サブ)クラス顧客向け融資が不良債権化した「サブプライムローン問題」だったが、日本でも似たような事として、1995年の住専(住宅金融専門会社)問題で一度通った道だった。

企業を家庭に見立てれば、新たな事業所=持ち家を構える為に融資してもらうが、返済能力を超えていたり、予想外で返済不能となり、融資先が回収出来なくなる―という事態だ。

事業は「新たな事をしなければ、時代・需要に追い付けずジリ貧」だが、過剰な投資・事業展開は足を掬われる事もある。現代日本のデフレマインド≠燒竭閧セが、家庭・企業・自治体・国家が健全経営から乖離してしまう、過度なインフレマインド≠熏lえ物だ。

2018/09/03 金属産業新聞