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新幹線の防犯対策、見直しを

新幹線の防犯対策が課題として浮かび上がった。在来線と異なり、緊事態時に次の駅へ短時間で止まることができない新幹線のような高架式の長距離・長時間の交通機関においては、新たに防犯体制を見直す必要に迫られている。そして、これは鉄道を運輸する一企業内にとどまらず、国民的な議論を要する。

対策を考えるにあたって困難が伴うことも事実である。対策を講じようと考えた途端、すぐさま問題点に当たるのだ。手荷物検査を航空機並みに厳格に実施しようとすれば、一日の発着数と乗車客数を鑑みると、膨大な敷地と手間とを要するためだ。改札前には列を成すこととなり、それだけの敷地面積が既存の構内にあるか、または新たに土地を取得あるいは同建物内に増設できるだけの余裕があれば良いが、現実的には不可能であると言わざるを得ない。手間についても、ただでさえ混雑している構内であるのに、切符を購入したのち短時間で乗車できるという利便性が損なわれれば混乱を招くであろう。

そうすると比較的短時間で、また広大な用地を要さずとも検査できるには、おそらく簡易検査か、抜き打ち検査か、あるいは車内への鉄道警察の常時乗り込みを行うかである。これらのいずれかが現実的な路線となってくるであろう。もっとも、決して完全に網羅するものではないため、すり抜ける危険性が内在するのが依然問題点として残るが、しかし抑止力という点で一定の役割を果たすものだと考える。なお、15年の放火事件後に増設された監視カメラは、これ以上車内や駅構内に増設しても効果は増さないであろう。近年は新幹線のデッキのみならず客室にも防犯カメラが設置されたものの、人目やカメラを避けようとする場合を除けば、防犯カメラの増設が抑止力の観点でさほど功を奏さないというのが現実だ。そうなれば物理的に危険物の持ち込みを防ぐか車内に警察を置くほかない。

東京オリンピックが迫るなか、防犯面で都市の商業施設、交通機関、公共施設などの対策に懸念が持たれているものの、残す時間を考えると新幹線の本格的な防犯対策は東京オリンピックについては間に合わない。年月をかけて取り組む課題となるが、何も手立てを取らずに問題を放置するよりも良い。国民的な議論を活性化させ、たとえ漸進的にでも実際に対策を進めていかねばならない。

その際、海外の事情を参考にすることとなるが、わが国と事情は違えども、中国、欧州の高速鉄道における先進的かつ強固な防犯対策に学びながら、わが国の新幹線においても腰を据えて防犯に取り組むべき時期が来ているのである。

2018/06/18 金属産業新聞