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IoTとファスナー業界の可能性

6月1日に「ねじの日」を迎える。この日のあり方を改めて考えた時、業界の外へ発信する機会にうまく活用していくことを考えていくべきと改めて思う。その上で情報媒体という使命から本紙に何ができるのかを常に考えていきたい。

製造業ではIoT、ロボット、AI、ビッグデータと言ったキーワードが飛び交っているが、ファスナー業界もこうした技術を取り込むことが求められてくる。人手不足をこれら技術で補い、貴重な人材にはより高いレベルの仕事をしてもらおうというのが狙いだ。

モノとインターネットをつなぐIoTは、従来のITが、人が入力機器などを使って情報を発信するのに対して、モノ自ら情報を発信するという違いがある。つまり人ではなくモノがアクションのトリガーになり、情報の幅や量をよりリアルタイムに発信できるのがIoTの大きな特長だ。例えば、これまで人が判断していた工具の取り換えを工作機械が判断する、各ロットの細かい加工指示をバーコードで読み取るなど、機器が発信した情報をサーバー機器等に集約して管理することができる。

IoTが具現化してきた中でファスナーそのものが情報を発信する未来も見えてきた。チップを搭載して締め付け情報などを把握するシステムは、絶対的な安全の求められる機器から需要が生まれるはずだ。こうした技術が確立すれば、トレーサビリティ性が格段に上がり、事故や不良が発生した場合にファスナーメーカー、ねじを締めつけた組立メーカーの責任の所在も明確化できる。電動工具メーカーや一部ファスナーメーカーでこうした技術は既に開発が進められている。

本紙3月12日付の時評にて画像処理選別機は毎分1000本以上の検査はあり得ないと記載したが、これは画像処理選別機の限界を示したものではなく、特定部品メーカーの現行のカメラ単体モジュールの性能限界を示したもので、画像処理選別機の搬送技術や設計レイアウト等の工夫で検査本数能力は今後も伸びる可能性をもっていることを本稿をもって確認させていただく。こうした画像処理選別機もIoT、AI、ビッグデータとの親和性の高い機器と言えるだろう。

インターネットを経由した遠隔監視機能は既に搭載しているメーカーも多いが、AIの学習機能により品質レベルの多様性ニーズに応えられるほか、ビッグデータを活用して生産側にフィードバックするといった使い方も増えてくる。1本1本のデータを収集することで、画像処理選別機の設備費用ではなく、OK品の数量と遠隔監視による保守サービスで課金するビジネスモデルが生まれてくる可能性もあるのではないか。

2018/06/01 金属産業新聞