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世代間の温度差

1月8日の成人の日。新成人達が生まれた年には山一証券が倒産し社長が「社員は悪くございません」と泣きながら会見をしていたが、今年は着付け業者が業務を放棄して経営者が逃亡する問題を起こした事を比較して見てしまうと「上に立つ者の責任」や「勤めを全うする事」による相互の信頼関係で社会が構築されている事を改めて認識させられた。

少しさかのぼって正月―。テレビのお笑い番組ではバブル芸人や高校生によるバブリーダンスが披露されていた。しかし気付かされたのは「バブル時代を知らない若者世代は懐かしさ≠ニいう感情でこの芸を見て楽しんだり、ダンスをしていない」という事だ。

ジェネレーションギャップ…その時代ごと、そして生きていた世代・年代ごとによって見方・感じ方は違ってくる。今年の新成人に限った事ではないが、大まかに30代はバブル時代を生きてはいたが青年期・少年期を過ごし、20代以下はバブル崩壊後に生まれている。平成さらに21世紀に入っての出来事も「歴史扱い」され教科書に載りつつある中、彼らにとってバブル時代は古典の領域、あの恰好をはじめ全てが時代考証の対象かもしれない。

一方で今年の業界団体での賀詞交歓会で歓談していた際に、「ねじ業界に一番勢いがあった、そして輝いていたのは何時頃か?」という話となり、「やはり昭和40年代だろう」という意見が上がった。新年の挨拶で「景気回復」「経済成長」への期待がよく言われているが、この言葉もひょっとしたら発言している世代毎にイメージが違い、無意識レベルで「あの頃(昭和40年代やバブル期)よもう一度」と願う意味で話しているかもしれない。

歴史において大恐慌の直前のように、当時は当たり前だったかもしれないが、振り返って考えると異常な(浮ついていた)時代だった―というのはよくある。

バブル崩壊以降、「失われた20年」さらには「失われた30年」と云われつつあるが、何度も景気回復の兆しがありながらも、リーマンショックや東日本大震災等の外的要因で出鼻を挫かれてきた。戦争(第二次世界大戦)ではないが、バブルが終わって生まれ、バブルを知らずに育ってきた、通称ゆとり世代・さとり世代と揶揄される若い世代の方が「景気回復」というと、もっと真面目で堅実なものをイメージしているかもしれない。

BCPの一環として長期的な視野に立っての経営がよく提唱されているが、いつまでも経営者が現役・在職し続ける事は不可能だ。創業家がオーナー・経営陣を引き継いで「家業=稼業」が多いねじ業界において、記録や統計には残りにくい「時代の空気感」に対して、世代交代に際して伝承≠熾K要かもしれない。

2018/01/22 金属産業新聞