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過剰な品質要求が負担になっている?

商工団体が互いの立場から業況報告や意見を交換し合う貴重な懇談会を取材した。今回、話題として最も大きく取り上げられたのは神戸製鋼のデータ不正問題だった。必要以上の混乱をきたさないように、神戸製鋼の公式発表などをもとに状況を再確認したい。

10月8日にアルミ板、アルミ押出品、銅板条、銅管及びアルミ鋳鍛造品などで顧客と取り交わした製品仕様に適合したかのようにデータを書き換えて出荷していた事実が判明したことを発表。その後、継続調査で同様の不適切行為があった製品が追加で発表された。13日の発表ではグループ子会社が製造する鋼線も「不適合製品」として含まれていたが、詳細を見ると、鉄鋼製の鋼線はばね用で、残りのアルミ線材、特殊鋼線、ステンレス鋼線についても26日の発表で、それぞれ空調端子用、軸受用、ばね用と明記されている。なおこれら鋼線についても、神戸製鋼が「高い確度をもって安全性が推認できると判断」しており一部ではユーザーとの間でも安全製を確認している。

なお、ファスナー向けの材料についても鉄鋼製の鋼線については、神戸製鋼が伸線メーカーに対して「緊急点検結果」の書面を昨月中旬に通達しており、この中で「線材・棒鋼について品質上の問題がないことを保証する」との明記がされている。一連の事実から、ファスナー向けの材料については「不適合製品」には含まれておらず、かつ神戸製鋼からも品質上の保証がされていることが解る。

メーカー、商社はユーザーの求めに応じて「緊急点検結果」の書面を提供するなどして、品質・安全性の確証を示しているようだが、懇談会の意見の中には「もしこの書面の事実が覆ってしまったら」といった不安の声も上がった。こうした心理が働くのは無理もない。

ユーザー側も同様だろう。しかし問い合わせによっては過剰不安に陥り全製品のロット追跡調査などの要求を出しているケースもあるようだ。前述の一連の事実や、熱処理など後工程の各段階で強度試験を経ているという業界の実情を把握していない可能性もあるので、理解を促す必要があるだろう。一方で事実を把握して冷静に構える動きもありユーザーによって温度差があるように思える。

過剰な品質要求に応えるには当然それだけの負担がかかる。品質にはコストがかかるということを改めて理解したい。日本の製造業はこうしたモノ以外のサービスについても「ただでやるのが当たり前」という風潮が強くないか。これが過剰品質と過剰な負担を生み出し、今回のデータ不正問題の一因になったとも考えられる。

2017/11/13 金属産業新聞