ねじ(ボルト|ナット)・ばね(スプリング)の業界新聞。
金属産業新聞社

文字サイズの変更
ウェブ サイト内

時評

時評 > ねじ

取り組み易く地道な支援を、中小企業施策への期待

2017年も残すところ3カ月余りとなった。先々週の本紙でもお伝えしたが、このシーズンは2018年度予算編成に伴う各省庁からの概算要求の話題に関心が集まる。

一般会計予算への要求総額は100兆9586億円と、17年度当初予算比3.6%増、4年連続の100兆円突破に至った。少子高齢化に伴う社会保障関連費用や危機感が高まる周辺諸国情勢を見据えた防衛費増などが目立つなかで、中小企業関連では事業承継支援をはじめ、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボットなどいわゆる“スマート社会”実現への投資ほか、政府が成長戦略の柱と位置付ける「人づくり革命」「働き方改革」などへの歳出圧力が高まった形である。

ただ、概算要求総額から国債費などを差し引いた政策経費は77兆円余と依然、過去最大を更新し財政赤字は膨らむばかりだ。それだけに口先だけではない「歳出全般の精査」や「優先政策課題への重点配分」、「メリハリある予算編成」とともに、行政を含めた抜本的な構造改革が望まれるのは論を待たない。

特に中小企業関連では、先進高度化技術対応や科学技術、宇宙技術開発支援などを除き約283億円が見込まれている。様々な企業再生・事業承継支援や再編・統合・連携支援、取引対策などが地域金融機関を巻き込み展開されるようだが、設備投資面で過去に多くの実績をあげた各種優遇税制措置の整備・拡充にも期待が高まっている。

ある検査・省力機器メーカーの話によると、周辺装置などを含め総額約3000万円の設備投資でも、消費者金融の金利CMキャッチフレーズではないが「(実質)0円(に近い)」負担で導入できるケースもあるという。もとより、これは対象の設備が格段の合理化・省人化をもたらすものであることや、一括償却をはじめ様々な優遇税制措置をフル活用し、定められた期限内に導入され、少なくともその有効性が確認できるものに限られるなど“条件付き”の例だが、17年度においても様々なねじ部品メーカーがこれらの制度利用により新鋭設備を導入している。

日本企業の経営者年齢層は、この20年間で47歳から66歳へシフトしたとされる。まして団塊世代の大量引退を控えるなかで、事業承継の問題などから中小企業そのものの存立基盤や、外的要因ではないサプライチェーンの寸断が危ぶまれている。

“花形”として脚光を浴びる先進高度化技術対応や科学技術、宇宙技術開発支援なども去ることながら、M&A(合併・買収)を含め事業承継や各種優遇税制措置の拡充など、形は変えてでも現下の中小企業におけるモノづくり基盤を維持しつつ、18年度も関係者が取り組み易い地道な支援策の展開が待たれる。

2017/09/25 金属産業新聞