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教育制度の充実、ニーズ高まっている

ファスナー業界で働く人材に対する教育制度の充実が求められている。(一社)日本ねじ工業協会では、ねじ製造技能検定の国家認定を目指す取り組みが行われているが、専門知識を持った企業による講習会などのニーズも高まっている。

ファスナー価格の問題は、業界の教育レベルの低下が遠因していると言えないか。一例になるが、かつては購買部門の社員の中にも製造技術の高い知識をもつエキスパートが多く存在したという。材料の相場、この形状を圧造で、仕上げ工程に切削も入れれば、仕入れ価格は大体このぐらいだろう、といった想定ができる人材がいた。現在はどうだろうか。複数メーカーから見積もりを取り単純に最も値段を安く提示してきた企業を採用するという、数字だけを見て判断する人材が増えているといった指摘が各所から聞こえてくる。

数字だけを見ているので「こんなに安くできるはずがない。何かおかしいぞ」といった判断ができない。結果、作る側は原価を割るような無理な製造を行い、自社の体力を擦り減らすか不良を発生させる。当然、この影響は購買した側にも向けられる。仕方なく仕入れ価格の高い企業に変えても、今度はユーザー側に「これまでこんなに安い値段だったのになぜ?」と言われ板挟み状態となる。この一例から見ると、購買側の人材は、製造工程を把握して製品がどのくらいの値段になるのかをある程度想定して適正から離れた価格に疑問を持てるような知識があれば、こうした問題が発生することはなかった。作る側、買う側ともに適正価格を提示する、想定できる知識、技術、そしてモラルを持たなければ誰も得をしないということが解る事例だ。

こうした視点で見ると、商社が材料知識や製造技術を、メーカーが商社の提案能力を、また金型・表面処理メーカーの知識を得るといった業種間のノウハウの習得が必要になってきたのではないか。これまでも、一部企業で新人研修等において独自の教育カリキュラムを準備してきた。機械メーカーも、ユーザー企業向けに研修プログラムを提供してきた。業界の基礎知識などを学べる講習会を実施している商社もある。ジャンル別の基本プログラムを用意して要望にあった講習会を提供している。

企業はモノを売るだけでなく、専門知識を活かしてコトを売るサービスを提供できる。自社の知識・ノウハウが業種の垣根を超えた思わぬ企業から求められることもある。実際こうしたニーズを掘り起こして、製造・販売とは別の新たな事業につなげるチャンスもあるだろう。こうした活動に取り組む企業は、教育の提供が結果的に自社の利益につながることを理解している。

2017/09/21 金属産業新聞