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良好な景気、秋以降も継続を

景気動向を考える。4―6月期のGDPは年率換算で4・0%ともなる良好な結果であった。夏は東日本の冷夏による観光業・レジャー産業で消費の抑制こそあったものの、自動車を中心とする製造業と建築の分野は東日本、西日本とも堅調に推移している。こうしたなか、今秋以降も緩やかな景気上昇は継続するものと予想する。

自動車では、4―6月期の新車生産台数が昨年比10%増し、普通車・小型車・軽四輪とも消費が拡大した。経産省の来年度予算概算要求で省エネを目的にグリーンエネルギー車の推進が謳われているが、今秋以降も延長エコカー減税の効果と個人消費の回復が内需を拡大させることで自動車産業は安定的に推移するであろう。また、短期的な傾向にとどまらず長期的にも、グリーンエネルギー車の推進において、我が国ではハイブリッド車や環境対応のガソリン車が主流であり、欧州のような電気自動車への志向や嗜好が少ないことから、エンジン回りを中心にねじが多く使われ続ける。

建築では、五輪事業に関わるインフラ整備の本格化である。急激な経済効果は感じられなくとも、五輪事業が現在の比較的良好な景気を支える一つの要因となっていることを無視することはできない。また、一般の住宅着工においても、ここ10年間で最も高い水準にある。また、着工数は例年春から冬にかけて増加し年明けに減少するという波を周期的に見せるが、この上昇の波を受けて年末に向け更に現在の水準を超える増加が期待できる。

電機では、家電メーカー各社の盛衰が二つに分かれ、しかもM&Aなど海外からの進出が著しい現在、景気の先行きは不透明な状況ではあるが、しかし、企業向け機械設備については、近年の人手不足を受けて省力化を図る投資が増えており、内需の分野でひときわ輝いている。売り手優位の労働市場が、従来のように単に景気変動による循環性のものではなく、なかば構造問題化しつつある現在、この分野の市場開拓の余地とは膨大なものではないかと期待している。

なお、今秋〜年末の景気における下振れリスクについては、産業界に内在するよりもむしろ産業界の外、つまり政治的・軍事的リスクの方が規模が大きい。アジア情勢の不安からビットコインが過去最高値を付けるなど、投資家たちのリスク回避行動が見られるが、企業もまたBCP(事業継続計画)に有事を考慮しておかねばならない情勢にある。このリスクさえ現実化しなければ、現在の上昇基調を阻害する他の下振れリスクは弱く、下半期の日本経済は緩やかな上昇を持続しながら推移するはずだ。

2017/09/11 金属産業新聞