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GDPと「肌感」の隔たり、今なら事業構造転換も

内閣府が先ごろ発表した2017年4−6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報は、物価変動を除いた実質で前期比1.0%増、6四半期連続のプラスを記録、年率換算では同4.0%増となった。15年1−3月期以来の高い成長率となった背景には、不安定な為替動向や海外情勢による外需より、個人消費や設備投資、公共投資など底固い内需によるものとされる。

GDPの約6割を占める個人消費は前期比0.9%増と6四半期連続でプラスとなったほか、様々な優遇税制措置が奏効した設備投資は同2.4%増と8四半期連続増、公共投資も16年度第2次補正予算の本格執行がけん引役を果たし同5.1%増と高い伸び率を示した。

ただ、この結果は中小企業経営者にとっての“肌感”とは程遠いものと言わざるを得ない。現実に7−9月期以降の成長率という意味では、これまでの“反動減”や相次ぐ水害・豪雨災害に伴う影響、前年実績を下回る夏季賞与といった賃金の伸び悩み、深刻さを増す人手不足などが想定されるからだ。

こうなると先の4−6月期のGDPでは寄与度プラス1.3%の内需に対し、同マイナス0.3%の外需も“クローズアップ”されよう。不透明な海外経済や為替動向など懸念される要素は多々あるものの、日本企業は直接的な輸出金額だけで前年比7.4%減ながら総額70兆392億円を稼いでいる〔財務省2016年貿易統計速報〕。

とりわけ主な上場企業176社の海外売上高比率では、アジア・大洋州の17.3%、欧州の7.8%を抑え、米州は26.3%と実に4分の1超を占め、文字通り“ドル箱”となっている〔JETRO調べ、2016年度〕。自動車など輸送機械(31.3%)を筆頭に、機械・電気製品(11.6%)、素材・素材加工品(6.8%)などの業種で米州依存度が高いとされる〔同〕。

景気拡大は既にバブル期を超えているが、内需にしろ外需にしろ経営者の実感とはかなり隔たりがあり、特に先行きの不透明感は払拭できないだけに、ここは今後の変動要因に注意しつつも、新規投資や新事業開拓、従来とは違う新たな需要開拓を目指した取り組みに期待したい。

現状、不況ではないことは先の統計指標からも明らかなだけに、攻めの経営ができる“余地”は残っている。各社が置かれている企業環境・ポジションで考えられ得るIoT対応や人手不足解消策、後継者難を抱えているなら経営刷新も視野に入れた前向きな諸施策が望まれる。

これらには当然リスクも伴うが、リスク無しにリターンは期待できない。今なら、自社の技術力やマンパワーをベースに、抜本的な事業構造の転換も図れるのではないか。

2017/08/28 金属産業新聞