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技術革新と人材で地位向上を

ねじの日を迎える。地位向上に必要な要素として、これまで、ねじ製品価格・下請け価格の上方硬直性の打破と、社会におけるねじの重要性に対する理解の促進が挙げられ、現在も取組みの最中であるが、今世紀はこれらに加えて、「輸入品との品質面での競争」と、「人材不足の問題」が新たな課題として顕著になるものと考えられる。

前者の「輸入品との品質競争」では、現在は主に価格面の差によって輸入量が増加しているのだが、世界的な品質競争の中、いずれ品質面での追い上げが脅威となってくる。この競争における敗退は、今までの地位向上へ向けた努力を台無しにし業界の地位を下方へ陥れる危険性を孕んでいる。ねじ製品の多くの分野で海外勢は増々手ごわい競争相手となってくることだろう。

我が国が輸入品との品質競争でこれからも追随を許さずに先を歩み続けるための手立ては、材料メーカー、ねじメーカー、表面処理メーカーの各社とも、新たな研究開発による技術革新で圧倒的な力の差を示すこと。これを置いて他にない。

ここのところドイツとの交流が進められているが、技術革新へ向けた刺激として、有意義な交流となることと期待している。今年、関西ねじ協同組合ではドイツ研修旅行が実施され、ドイツ製造業の現場を目の当たりにし、帰国後の会合の場ではその先進性について驚きの念と共に報告がなされた。また、昨年から(一社)日本ねじ工業協会ではドイツねじ協会との交流の本格化へ向けて準備を始めている。アジアを代表する先進国と欧州を代表する先進国が親交のみに留まらず、品質管理や製造技術の面で互いに刺激し合えれば、技術の発展を促し新興国に対する優位性の維持に寄与する。また、国際規格で我が国の発言力を向上させる上でもきっと有益となるであろう。

後者の「人材不足の問題」は、少子化の中で高卒・大卒の就職率がどれほど向上すれども、絶対数が減少しているために起こる現象だ。ねじ業界を問わず第一次産業から第三次産業に至るまでいずれの分野にも響いてくる問題ではあるが、しかしその中でも特に若年層の製造業離れに一層拍車が掛かる恐れがある。これに歯止めを掛け若者を職場に取り戻すには、ねじのPRを業界内のみならず、これを越えて広く一般社会へのPRに力を入れねばならないが、実は、前者の「技術」とも関係する。技術水準を常に海外の前を行き、海外に勝ち続けることでこそ、魅力ある産業・魅力ある求人としてねじ業界が求職者たちの目に映る。

国内のねじ業界をしっかり守りさらに育てていくため、これからも不断の努力によって、着実に前進していこう。

2017/05/29 金属産業新聞