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価格改定の交渉、支援事業の活用を

経済状況にあった適正な価格に改定したいと考える企業は多い。リーマンショックなど景気低迷時にやむを得ず値下げした価格が足かせになっている。材料価格や光熱費、人件費などの上昇を製品・商品価格に転嫁したいと考えるのも普通だ。取引先との関係から利益の出ない案件を抱えている企業も多い。

こうした中、中小企業庁では価格転嫁などの改善が進まず経営の厳しい下請け中小企業の価格交渉力を支援するために「個別相談」や「価格交渉サポートセミナー」を実施している。個別相談では対象企業の要望にあわせて専門家が訪問して個別相談(3回まで無料)に応じる。価格交渉の事例を見てみると、交渉時に提示する書類の内容を改善したり、下請適正取引等ガイドラインを活用しながら問題点を整理していったり、原価管理の導入で合理的な価格設定のノウハウや、金型保管の有償化への取り組み、小ロット部品や無償での試作品製作の依頼への対応改善など、この業界のケースにあった内容もある。

価格交渉のノウハウは、工程を撮影して見える化をはかり原価を把握してもらうなど自社の生産工程への理解を深めてもらったり、価格改定の根拠となる市場データを公開するといった形でユーザーに論理的に訴えることもポイントのようだ。

この支援事業の事例を見てみよう。無償保管している金型が増え工場のスペース不足に悩んでいた非鉄金属メーカーでは、金型の廃棄や引取基準と手続きの明確化、また金型の長期無償保管の解消を目指した。専門家は保管費用の合理的根拠資料の作成や新規取引における金型保管基準の運用をアドバイスしている。

鋳造メーカーでは、ユーザーから小ロットの指値での見積もり依頼を受けたが、とても利益の出る金額ではなかった。専門家は条件が改善しなければ、失注もやむなし、という方針を明確にすることが重要と助言。「こういう組み合わせなら受けることができる」という条件を提示して交渉に臨むようアドバイスしている。またこの鋳造メーカーは別ユーザーから無償での試作品製作の依頼が来ていた。これについては、試作品の製作単体での見積もりを提出することを指導。その後の量産時の見積も提示し、一定条件を満たせば、試作品製作の請求は、量産のタイミングに包含する形で請求することもできるという文書で伝え、相手に選択できる余地を与えるようにアドバイスしている。こうしたやりとりは文書化、またはICレコーダー等で記録してトラブルを未然に防ぐことも重要という。

価格改定できれば企業体力も上がり、その利益を社員への給与や設備投資に当てることができる。価格改定の専門家から無料でアドバイスを受ける機会を活用してほしい。

2017/04/27 金属産業新聞